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雑貨屋店番日記 根本きこ
vol.23「aoのガーゼハンカチ」
このハンカチは、どうしてそこまで、というくらい手が込んでいる。
7day’s ハンカチ、「あなたの1週間が、糸を紡ぐように実りある日々でありますように」そんな思いをこめたハンカチだ。ふうわりとひろげると、隅っこに青麻糸で1から7までの数字が各ハンカチごとに刺繍してある。
そして、いちまいごとに違うモチーフの刺繍のライン。ao HAND MADEというスタンプも、aoのスタッフがぺったんこ、と押している。いちばんぐっときたのは、まわりの縫い方。ロールケーキを巻くように、くるっと巻いて手縫いで始末してある。エルメスのスカーフも、この手法。わたしにとって、このガーゼハンカチは、まるでエルメス。素晴らしく柔らかで軽やかな手触りは、ほんとうは子どものために使いたいけれど、ぜったい無理だ。引き出しにだいじにしまって、そう数ない記念日にそっと出してはバッグにしのばせるのだ。
わたしの母の桐箪笥の上段には、そんな特別の日のためのハンカチが丁寧にアイロンがけされて、ぴっと几帳面にたたまれてしまってあった。子どもの頃、内緒で引き出しをそおっと開けて、いちまいいちまいひろげてはため息をついた。モネの絵画のような柔らかなシフォンのハンカチ。シルクの水玉、スワトーの刺繍、イヴ・サンローランのヴィヴィッドな柄、バーバリーチェック、ペイズリー柄の大判ハンカチ、縮緬の豆絞り、赤いバンダナ。普段はおちゃらけで大雑把な母だけれど、この引き出しの中だけは、ゆるぎない均等を保って、美しく宝物を保存していた。典型的なO型、そんな気がする。
うちの子は男の子だから、「ハンカチ」に興味をしめすことはないかもしれない。けれど、わたしは自分のために「ハンカチのための引き出し」を用意したい。
そこに入るいちばん最初のハンカチが、aoの手刺繍のこのハンカチ。

根本きこ
フードコーディネーター





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