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雑貨屋店番日記 根本きこ
vol.19「刺繍のスカート」
このスカートは、メキシコのオアハカという街で見つけた。オアハカは、なんとも幻想的、牧歌的な街で、顔の大きいメキシコ人はそんな街並みにぴったりの民族衣装を身にまとっていた。カラフルな刺繍は、どれも見事。目の覚めるようなショッキングピンクやスカイブルー、真夏の向日葵のような灼けた黄色、サボテンの緑。どれもが強い色なのに、見事に調和がとれていて、彼ら浅黒い肌の色にとても似合っていた。果たして日本人のわたしに着こなせるのか? 色とりどりの刺繍を施した木綿のブラウスやスカートを前に、いささか困惑気味のジャパニーズ。そこで出会ったのがこの純白のスカートだった。白地に白の刺繍がなんとも控えめで、しかしよく目を凝らすと実に丁寧な針仕事。形もプレーンなボックス型。実際にはくと、身体のラインにフィットして納まりが心地いい。このスカートに、ギュン! と胸を突かれ、宝物にしようと心に決めた。
それから。
ことあるごとに登場させたせいで、すっかりくたびれてしまったスカート。はきつぶす、とはこのことか! というほどに、なかばユニフォーム化していた。まめに漂白すればよかった・・・。無数の点染みが悲しい。そんな話をヴェトナム在住の友人にこぼしたところ、予想外の返事。「もしかしたら、ヴェトナムで作れるかも。もちろん手刺繍でね」。もつべきものは友!早速そのオアハカスカートは再び海を渡り、喧噪の街サイゴンに飛んだ。それからすぐに、生き写し? 生まれ変わり? とにかくあの純白のスカートが手元に届いた。
そんないきさつで出来上がったスカート。メキシコ生まれのヴェトナム育ち、手先の器用な女性たちが、ほんとうに素敵にひと針ひと針縫ってくれました。素材は木綿100%なので、一年中着られます。春はスパッツに合わせ、夏は涼しげにそのまま一枚で、秋もスパッツを合わせ、冬はタイツや細身のジーパンを合わせて、上にモコモコウールのセーターを合わせるのが、わたしは好きです。

根本きこ
フードコーディネーター





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