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雑貨屋店番日記 根本きこ
vol.8「実験のためのいろいろな道具」
どうしてだろうか、わたしも主人も実験道具に目がない。それも今のものではなくて、何十年も前のもの。昔の実験道具は、それはそれは繊細で素敵なのです。もちろん用途は「実験」のためなので、装飾その他一切の無駄がない。質素で堅実で繊細。例えばガラスのビーカーは、まずガラスそのもの今のとは違う。部分的に表面が歪んでいたり、気泡が入っていたりする、果てしなく薄いガラス。華奢なのだけれど、過酷な(?)実験に身を費やしてきた迫力がある。そんなビーカーを、うっかりぱりん、とやってしまわぬよう大事に使おう。うちでは珈琲をいれたり、アイスペールにしたり。花瓶にもビーカーを使うこともある。野の草なんかちょっとさすのに、具合がいいのです。旅した土地でも、実験道具に出合うことが多い。ほとんど呼ばれているみたいだ。中国、西安で路線バスに乗っていたときのこと。窓越し、並木道の向こう側にどうやら気配が。殺風景なショーウインドウの中には確かに測りらしきものがあったような・・。そのときうちの主人が「今、見た?」ときたものだから、その次のバス停でわたしたちはすかさず途中下車。戻った甲斐あって、そこは実験屋通りでした。埃をかぶった乳鉢や蒸発皿、長短さまざまな試験管、大小のビーカー。けれど理数系じゃないわたしたちには、その他ほとんどの実験道具については、いったい何に使うのか?と、さっぱりわからないものばかり。でも、見ているだけでたまらない。西安の実験屋には、たくさん宝物が眠っていた。そんな具合にヴェトナムでもタイでも、偶然に通りかかった実験屋に遭遇すると、たちまち鼓動がスタッカートを刻むように激しくなるのです。 今、okuではハノイの旧市街で見つけた実験道具が置いてある。MADE IN CHINAかなぁ、と思ったら、なんとロシア!うっすらロシア語が印字されていて、それがまたいいのです。これらの小さな小さなガラス壜に、好きな香りをオイルにうつして閉じ込めるのもいいし、保湿クリームを詰めてもいいのでは。白磁のじょうごはいつかシャワーヘッドにするつもり。蒸発皿、片口。かなり薄手の磁器なので、触れる指先には緊張がぴっ、と走る。 MADE IN JAPANのビーカーもありますので、昔のガラスの質感をお探しの方はお早めに。

根本きこ
フードコーディネーター







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