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雑貨屋店番日記 根本きこ
vol.3「ヴェトナム後記1」
ヴェトナムへ行ったことがありますか? わたしはなぜかこの国と縁がある。初めて行ったのは10年前。それから何度となく足が向いてしまう。おととしの初夏、わたしはサイゴンにいた。ひと足先に夏休みを過ごすことを決めたのは、あまりにも急だった。 何もかもとりあえず置いて、サイゴンの雑踏に身を寄せたかった。わたしはけっこう猪突猛進なところがあって、「これだ」と思ったら、お正月のかるた取りのように瞬時に飛びつく癖がある。真夜中、インターネットで毎週配信される、格安航空券情報の画面をぼんやり見ていたら、どうにもこうにもヴェトナムに行きたい衝動にかられた。そして次の日にはもうチケットを手配していたと思う。今思えば、そんなにも本能のままにことを進めたのは、妊娠していたからだ、と思う。とはいえ気づいたのは帰国後だけれど。妊娠初期の不安定な状態でのヴェトナムは、とにかく変な感じだった。ビールを飲んでもおいしくない、シーフードもおいしくない。ひたすら砂糖きびジュース苺入りを、ふにゃふにゃのやわなストローで吸いながら「何だろう、わたしがわたしじゃないみたいだぞ」と我が身を疑った。 それから、十月十日を経て、玉 のような(?)男の子を産んだ。それで今回の買い付け旅行だから、彼にとっては2度目のヴェトナムになる。 ヴェトナムの市場はいつ行っても楽しい。サイゴン都市部のベンタイン市場は今回パスしたけれど、ここの食堂街や食材売り場は魅力的。チョロンの市場は変わらずに、小さな店が蜂の巣さながらにひしめき合っている。背中に赤ん坊を背負って、あみだくじのような細い路地を歩く。そのうちに「好きなもの」があらわれる。様子をみながら値段を交渉し、合点がいった価格で取引終了。ハノイまで足を伸ばしたかいあって、トータル5カ所の市場を巡ることが出来た。赤ん坊連れでも全然問題ない、ヴェトナムは子連れに優しい国。今回は、そんなヴェトナムの違う顔が見られた。 今、coyaの奥の雑貨屋では、こうしてちょこちょこ買ってきたものが並んでいます。そのほとんどが、庶民のための無骨な道具。昔から持っていたような、使っていたような、うちに置いたらいっきに馴染んでしまうもの。しばらくはヴェトナムフェア、続きます。 あ、手刺繍のスカートも作ってきました。まるで工芸品です。すごく可愛い。

根本きこ
フードコーディネーター





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