わたしが主人と営む喫茶店、coya(こや)は神奈川県逗子にある。のんびりとした川沿いに、ある初夏の日、一年間の改装を経てオープンした。当時は夜のみのオープン、その形態は喫茶店ではなく、ほとんど居酒屋に近かった。24時に閉店し、その後にわたしたちと手伝ってくれているスタッフとで、かなり遅めの夕飯を食べる。暮らしは完璧に夜型、朝日とともに就寝、ということもざらだった。それから月日は流れ、暮らしも変わった。変化の理由は赤ん坊の存在だった。妊娠がわかってから、わたしたちは夜型生活に終止符を打った。なんせ眠いのだ。昼夜問わず眠いのだ。それに身体のことを考えると、夜は休んだほうが無難、だと思った。そう、いちばん大事なのはこれから産まれる赤ん坊。わたしはその小さきもののために、ゆったりと寛げる環境を整えなければ。妊娠発覚を起点に、coyaは喫茶店になった。やってみたら、素晴らしい。朝型の暮らしは、ほんとうに目から鱗が落ちるほど、いろいろな発見がある。植物の美しさに改めて感服したのも、朝の光を浴びた姿があまりにもキラキラしていたからだった。夕方の烏(からす)は寂しそうな影を落とすけれど、朝は、その艶やかな漆黒の羽を、新しい太陽の日にかざして心地よさそうにしていた。
そんなふうに朝を感じていたある冬の日、うちの子供は産まれた。
それから。
今、わたしは喫茶店ではなく、雑貨屋の店番をしている。coyaの奥の、以前、住まいだったところを改装して雑貨屋にしたのだ。傍らにベビーベッドを置きながら仕事をしている。
これから綴る日記は、その雑貨屋での出来事。どうして雑貨屋に居るのか、そこではどんなものを並べているのか、赤ん坊は元気か、喫茶店はどうか。個人的つれづれを、ぽつぽつ書く。どうぞ、お手すきで、寄って読んで頂けたら幸せです。
根本きこ
フードコーディネーター |



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