── 映画音楽を手がけたのは今回初めてということですが、いかがでしたか?
「実は、デビュー当時のインタビューで“夢は何ですか?”と聞かれたときは必ず“映画音楽を作ってみたい!”と答えていたので、このお話を頂いたときは本当にうれしかったんです。夢をかなえていただきました」
── 言い続けていた甲斐がありましたね! ところで、映画をご覧になるのもお好きですか?
「大好き! 国もジャンルも問わず、常に観ています。ただ、映画を見に行くとどうしても作曲家に注目しちゃうんですよ。それこそ、スピルバーグ作品を観ていてもジョン・ウィリアムズ(注:『スターウォーズ』や『ジュラシック・パーク』などを手がけた作曲家)の音楽のほうが、つい気になって…(笑)。だから、サントラ盤を聴くのも大好きです。最近素晴らしいと思ったのは『レモニー・スニケットの世にも不幸な物語』(作曲:トーマス・ニューマン)と、『プライドと偏見』(作曲:ダリオ・マリアネッリ)の2枚です。
ジャンルで言うと、とくにパニックシーンの音楽が好きなんです。感動のシーンは美しいメロディとハーモニーがあればOK、という感じでシンプルに作られているものが多いですけど、緊迫したシーンやパニックシーンの作曲は音と音をぶつけて、それこそクラッシュさせるようにして自由に作れるので、作曲家によってとても個性が出るんです」
── では次は、ドーン! と音をぶつけ合うようなパニックシーンのある映画に挑戦していただきたいです。
「そういうの、やってみたいですね! ただ、ホラー映画は怖くてちゃんと観つづける自信がないので、作曲できないかも…。ホラーじゃないのがいいなぁ…(笑)」

── ところで、世界中でライブを行っている上原さんですが、『オリヲン座からの招待状』のメインテーマである「Place to be」を演奏されるご予定は?
「実はもう、国内2ヶ所とアメリカのフロリダで演奏しました。アメリカのお客さんって、ライブで演奏の合間のMC中にどんどん話しかけてくるんですよ。“どんな映画なの?”とか…。で、ストーリーをかいつまんで話すとみんな“映画が観たい!”って言ってくれて。ライブの後で“アメリカでも配給されるの?”“このお話は、絶対ハッピーエンドよね!?”なんて尋ねてくる人もいて、ちょっと困りますけれど(笑)、曲を聴いた皆さんの頭の中で映像が広がっていって、映画を観たい!って言ってもらえるのは、やっぱりとてもうれしいですね」
── 映画が封切られる11月には、日本にいらっしゃるんですか?

「はい。できれば『オリヲン座』みたいな映画館で観たいですね。“映画が好きな人は、みんな友達”っていう空気があって、そこに来た人みんなに“つながり”が生まれるような、素敵な映画館が増えてくれるといいのに。そうしたらもっと映画が観たくなるし、終わったあとの空間まで楽しめそう。温かい気持ちになって、帰るときに館主さんに“いやぁ、いい映画でした”ってつい言いたくなっちゃうように。あともうひとつ、個人的には、『オリヲン座』の売店でトヨさんが量り売りしている、新聞紙のカップに入ったピーナッツを食べながらこの映画を観たいぞ、と(笑)。(映画会社の広報の方に)実現できませんか?」
撮影/織田桂子 ヘアメイク/神川成二 インタビュー・文/原田千裕(s-woman.net)