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天然コケッコー s-woman.net special interviews 原作者 くらもちふさこ先生 1「大人も子供もそっくりなキャストに驚きました」

「コーラス」で連載されていた長編名作マンガ『天然コケッコー』。その原作者である、くらもちふさこ先生が登場です。映画化が決まったときの率直な感想、また田舎で暮らす女の子の何気ない日常を描いたこの作品が生まれた当時のエピソードや、原作の舞台となった島根で過ごした子供時代の思い出なども伺いました。

――始めに、原作『天然コケッコー』を描かれたきっかけから、教えてください。

最初は田舎が舞台の作品を描こうという気持ちはなかったんです。担当者から「長めの物を考えてください」って言われ、“それならキャラクターが立ってるほうがいいな。そのためには登場人物の人数を制限して、じっくり描きたい”という思いがありました。10人以下の設定で何かできないか? と考えてるうちに、田舎にある生徒数の少ない学校が舞台というのがいいかなと思ったんです。

――作品の舞台は島根県ですよね。この土地を選んだ理由は、何だったんですか?

母方の田舎が島根だったんです。連載当初は、島根県というのを伏せていたんですね。“田舎=島根”と限定してしまうと、読者に先入観を与えてしまう気がしたんです。私の考えでは、見た目は多少違うかもしれないけど、基本的な部分は同じで、どこの田舎でも起こることだと思ったんですね。地名を伏せたほうが、読者の方がそれぞれの経験に当てはめやすいので、編集部にも「なるべく出さないでください」とお願いしていました。映画化されることが決まって、どうしても舞台を公開しなければならないという状況になっても、“島根県”と書くのを、内心ためらったんですけれど、しょうがないよねと開示させてもらいました。

――くらもち先生ご自身は、田舎暮らしの経験はあるんですか?

子供時代の話なので、学校が夏休みの期間中の1週間か10日間ぐらいの思い出しかないんです。当時は1年に1回、いとこに会えることが、すごく楽しみでしたね。この作品を描くにあたって、島根に住んでいるいとこに電話して、「当時の高校はどんなふうだった?」とか、学生時代の経験談を聞きました。制服も今と当時では変わってるんですよね。高校の制服は、モデルにした学校の昔の制服を描いてるんです。すごく綺麗な色だったので、“この色を使いたい!”と思いました。 私が『天コケ』を描いたころは、学生を卒業してちょっとしか経ってなかったんですけど……というのは冗談ですが(笑)、今と当時で時代の違い、さらに東京と地方の違いもあると思ったので、いとこの子供たちに学校のこととか、いろいろ聞いてもらいましたね。実は浩太朗(ヒロイン・そよの弟)のモデルは、もう1人のいとこなんですよ。初めは、モデルにするつもりはなかったんですよね。モデルにすると、悪いこと描けなくなっちゃうから(笑)。

――夏休みに田舎で遊んだことで、印象に残っていることはどんなことですか?

海へ行ったのも思い出なんですけど、いとこの家には母屋とつながった“離れ”があったんですよ。新築の母屋と細い廊下でつながってる離れは、すごく広くて。でも、小さい電球1個しかついてなくて、すごく暗いんですよ。大きな仏壇が開いてると、それだけでなんだか怖かったりして(笑)。大人たちは母屋にいるので、その離れには子供だけでね。当時は、いとこたちと絵を描いて遊んでましたね。叔父がイラストが上手で、よく描いていたんですよ。今マンガを描いてるのも、環境がそうさせたような気がします。 『天然コケッコー』を描き始めた時点で……遅いんだけど(笑)、ようやく田舎の価値観がわかるようになってきたんです。自分の中の半分は、この土地の血が流れてるんだなあと実感するようになると、“田舎に行きたいなあ”って思いが、周期的に来るんですよ。今では酸素を吸いに行くような、肌に密着するような自然な感覚になってきました。そういえば、昔、田舎でお月見のお団子を作ったことがあったんです。そういうのって、東京ではなかなか体験できないですよね。子供のころはピンとこなかったんですけど、今になってみると、そのシーンがすごく鮮やかに思い出されるんですよね。

――『天然コケッコー』映画化のお話を最初に聞いたときは、どのように思われましたか?

映像化されるって、私の中で自覚がなかったんですよ。過去に何回か、企画の段階でOKを出しても流れてしまったことがありましたし、この作品を映画にするのは、私自身も難しいと思っていました。映画はいろんな人が関わってくるから、完成するまで大変だということは、友達の映画監督からも聞いたことがあったんですよ。“本当にやるんだ!”と実感したのは、そよ役の夏帆さんや大沢役の岡田(将生)くんの写真を送っていただいたときですね。

――送られてきた写真を見てようやく、本格的に“動き出した!”と実感されたんですね。夏帆さんや岡田くんの写真をご覧になったときの第一印象は、いかがでしたか?

夏帆さんはそよちゃんのイメージに近かったので、すごくいい子を見つけてくれたと思ったのと同時に、私は自分の作品が映像化されるという経験が初めてだったので、正直いって、おもしろいなって思いました。私のほうから「キャストに合わせて欲しい」とお願いした覚えはないんですよ。男の子が登場することで動き出す物語なので、「納得できる魅力を持っている男の子さえ見つかれば、後はお任せします」と最初にお話ししたのに、あれだけ原作のキャラクターに似せた子供や大人を、スタッフが見つけてきたことには、本当に驚かされました。スタッフのみなさんが、“どう?”って、おもしろがってる感じがしてうれしかったですね。

――オーディションは、実際に撮影が始まる約1年前に行なわれたんですよね。特に大沢役の岡田将生くんに関しては、“オーディションの段階では、未知数だった”とスタッフの方から伺いました。

オーディションのころは、顔が丸くて、まだあどけなかったですね。スタッフの方に「彼がもう少し成長したらどういう顔になるか想像してみてください」って言われて(笑)。“うわ〜、難しいっ!”と思ったんですけど、1年経って顔がほっそりしたら、大沢のイメージに合うかなあって想像してみたりしました。