
全校生徒たった6人の田舎の分校に通う、中学2年生の右田そよは、明るくて面倒見のいい女の子。今回、オーディションでそよ役に抜擢されたのが、夏帆さん。ピュアで凛とした雰囲気は、まさにヒロイン・そよにぴったり! です。先日行われた完成披露試写会では、前日の夜から緊張してそわそわしていたそう。公開が近づくにつれ、喜びと寂しさが入り混じっているという彼女に、作品について聞いてみました。
――公開が、だんだん近づいていますね。今の気持ちは?
公開してしまうと、作品が自分たちの手から離れていっちゃうような気がして、すごく寂しいです。やっぱり初めての主演っていうのもあるし、すごく素敵なテーマの作品だったので、特別な強い思いがありますね。
――今回のそよ役は、オーディションで選ばれたんですよね。
台本を覚えて、実際に監督が動きをつけられていたので、オーディションというよりリハーサルみたいな雰囲気でした。当日は“いろんな大沢くん”や、“いろんなあっちゃん”がいたんです。逆にみんなは、“いろんなそよちゃん”を見たって言ってました。私も他のそよちゃんに会ったんですが、みんなかわいくて! “私、絶対無理だっ!”って思ったんです。でも、“絶対やりたい!”とも思っていたので、選ばれたときは本当にうれしかったですね。
――原作は、オーディションのときに読んだそうですけど、感想はいかがでしたか?
なんかうまく言えないんですけど、そよちゃんがかわいいし、作品の雰囲気も好きだし、今の自分とまったくかけ離れた生活で、うらやましい気持ちもあって、大好きになりました。大沢くんとそよちゃんの関係がいいですよね。実はお母さんが小学校のころから、くらもちふさこさんのマンガのファンだったので、オーディションの段階で「大人買いしちゃった〜♪」って『天コケ』を全巻買ってきてくれたんですよ。お母さんは「世の中、不思議だね。小学校のころに好きだったマンガ家さんと、夏帆が一緒に仕事するなんて!」って言ってました。
――映画を撮影していた昨年の夏、夏帆さんは中学3年生だったんですよね。同世代として、夏帆さんから見たそよは、どんな女の子?
めちゃめちゃかわいいです。周りの人を知らずに傷つけてしまうところとか、天真爛漫って言葉が似合う女の子ですよね。明るいし素直だし、でもちょっと空回ってるところとか、わかる(笑)! 私もひとりで空回っちゃうことがあるんですよ。最初は、自分がそよちゃんと似てるなんて、全然思ってなかったんですけど、撮影が進むうちに、周りの人から「近い」って言われるようになってきて。“あっ、そうなのかな?”って思ってたら、どんどんそよちゃんが身近に思えてきました。でも、似てるかなあ?
――くらもち先生は「この子しかいない!」って、おっしゃってたそうですよ。
本当ですか! 「そよちゃんに似てる」って言われると、すごいうれしいですっ!
――実際の撮影は、どうでしたか?
大変でした。私がまだまだ力不足なので、監督にはすごく助けていただきました。でも、監督からすごく細かいことまで言ってもらえたので、安心して演じることができました。
――島根での長期ロケもありましたよね。
行く前は不安もあったけど、リハーサルでみんなと仲良くなってたので楽しみでした。たまに地元の友達にロケ先から電話してると、“すごく会いたいなあ”って思うことはあったんですけど、島根もすごく好きだったし、楽しかったです。あっ、お母さんから「電話代がすごかった」って言われました(笑)。
お世話になってたホテルの方とか、すごくいい人ばっかりなんですよ。撮影場所では近所のおばあちゃんたちがすごくかわいいんです。離れたところに座ってみんなでこっちを見学されてたりして。夕飯を食べ終わった後は、誰かの部屋に集まって浩太朗(森下翔梧)が持ってきたトランプで遊んだり。毎日が修学旅行みたいでした。クランクアップした後に、(篤子役の藤村)聖子ちゃんと(伊吹役の柳)英里沙ちゃんとプリクラ撮りに行って、帰り道に3人で“もうここに来ること、ないのかなあ?”とか話してたら、寂しくなりましたね。
――それだけ思い出深い撮影だったんですね。その中で、特に印象に残ってる景色は?
もう、いっぱいありすぎて! 海もそうだし、トンネルもすごく怖かったし、右田家も学校も……“全部!”って感じです。『天然コケッコー』に関しては、好きなシーンとか好きな撮影場所のいちばんが決められないんです。
――方言を話すのは難しかったと思いますが、印象に残ってるセリフはありますか?
そよちゃんが言う「行って帰ります」って、すごくいい言葉ですよね。普段私は「行ってきます」って言ってるんですけど、“そっか、ちゃんと帰ってくるんだ!”って。マンガの中でそよちゃんが方言をしゃべってると、本当にかわいくて! そのかわいいそよちゃんを、私ができるのかな?っていうプレッシャーはすごくありました。
――そよが憧れる東京からの転入生・大沢くん役を演じた、岡田将生くんの印象は?
オーディションで会ったときに“あっ、大沢くんだぁ!”って思ったんですけど、なんかすごい第一印象と全然違うんですよ。最初は“絶対、話してくれないだろうな。話せても、最後まで敬語だろうな”って思ってました(笑)。なんか近寄れないオーラが出てたんです。でも撮影が始まってからは、“あれ? 第一印象と違うぞ?”って感じでしたね。
――その大沢くんとそよとの、キスシーンもありましたね。
緊張しました。そよちゃんも緊張してるシーンだから、逆にそれでもいいのかな?って。本番の前は、何話してたかなあ……あんまり覚えてないですね。私、台本を読んだときに、最後の教室のシーンがすごい好きだったんですよ。大好きな大切なシーンだから、余計緊張しましたね。でも試写を見たときは、超恥ずかしくて! 友達が「映画が公開されたら、夏帆と一緒に見るっ」って言ってくれてるんですけど、あのシーンを一緒に見るのは、困るじゃないですか!(笑) 『天コケ』を見て欲しい気持ちもあるんですけど、身内となると照れくさいです……(照)。
――両親役の佐藤浩市さん、夏川結衣さんと共演した感想は? 撮影の合間に、どんなお話をしていたんですか?
お2人とも本当に素敵です! 焼肉を食べに連れて行っていただいたときに、いろんな話をしていただきました。話の内容は、ちょっと難しかったんですけど、でも「いつかわかるときが来る」って言われて、“ああ、そうなんだぁ”って。撮影が終わったときに、お2人から「よくがんばったね。絶対いい作品になるから」って言っていただいたときは、すごくうれしくて涙が止まりませんでした。
――長期ロケが終わって普通の生活に戻ったときに、夏帆さんの中で変わったことはありましたか?
あるんですけど、それが何かがわからなくて、うまく言葉にできないんですけど……。お仕事に対する楽しさもそうだし、撮影自体がすごくいい思い出として残ってるっていうのもあるし。監督さんもスタッフの方々も共演者のみなさんも、こういう素敵な方に会えるのって普段の生活ではほとんどないので、本当に“仕事しててよかったな”って思えた瞬間でした。
取材・文/都丸優子
©2007「天然コケッコー」製作委員会
©くらもちふさこ/集英社
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