

「これぞビストロ!」のエントランス。内装はとてもカジュアル。
最近、「ネオ・ビストロ」という言葉を時折聞くようになった。元々の発祥はパリ。デザイナーが店舗デザインをしたモダンな内装のビストロや、自然派ワインにフォーカスしたビストロなど、“トラディショナルなビストロ料理にプラスアルファのモダン・テイスト”というのが「ネオ・ビストロ」定義というが、その中にあってパリっ子から絶大な支持を受けているというビストロが、パリ5区カルチェ・ラタンにある「ル・プレヴェール」だ。オーナーソムリエのマーク・ドゥラクセル氏が、自分の味覚と足で見つけ、心底惚れ込んだ自然派ワインだけを扱っている。ワインのラインナップもさることながら、その料理のおいしさに予約も取れないほどの人気ぶりだという。実は、この「ル・プレヴェール」が、昨年東京にオープンした。場所は表参道のGYRE(ジャイル)ビルの4階。シャネル・ブティックやブルガリ・カフェが入っている最先端のビルのひとつだ。
去る1月、この表参道の「ル・プレヴェール」に、今注目の自然派ワインの造り手8メゾンがフランスから来日し、紹介イベントが行われた。造り手のほとんどは小さなメゾンで、家族経営でコツコツとワイン造りに取り組んでいるところばかり。通常、メジャーなワインのイベントといえば、「グラン・メゾンで醸造家を囲んでのプレスランチやディナー」が多いのだが、今回は、またそれとは違った「手作りの良さ」が感じられた。造り手の温かさや素朴さ、自然派ワインならではのピュアな魅力とその理由に触れたような気がしたのだ。
たとえば、アルザスの「フランソワ・バルメス・ビュシェール」のリースリング(ブドウ品種)は、果実味もたっぷりでスパイスやエキゾティックフルーツの香りが際立っている。ピュアなおいしさがそのまま生きているワインで、“ビィオディナミの真髄”と言いたくなる味。また、コート・デュ・ローヌの「サラダン」のロゼは、太陽をたっぷりと浴びたブドウのフルーティーなニュアンスが伝わり、その中にちょっとスパイシーさがあって、チャーミングな味わいだ。聞けば、父と二人の姉妹が力を合わせてワイン造りをしているという。味わいの中にいかにも女性らしい繊細さがあって、ワインは造り手をそのまま表していると改めて実感。

こちらがアルザスの「フランソワ・バルメス・ビュシェール」の造り手ご夫妻。
コート・デュ・ローヌの「サラダン」。造り手もとてもチャーミング。
“マコン・ヴィラージュの新星”「ドゥニ・ジャンドー」。シャルドネのおいしさはピカイチ!パリの「ピエール・ガニエール」でリスト・オンされている。

素材のおいしさが際立つ料理。自然派ワインとぴったり。
今回のイベントのために来日したオーナーソムリエのマークさんはこう語る。「兄のフィリップも僕も、元々自然にダメージを与えるものが好きではなかったんだ。自然派ワインは、健康な自然そのものに育まれたワインだから、他のワインよりも強い生命力が感じられると思う。それに、兄が東京が大好きだったからね。それで、東京に自然派ワインのビストロを開いたというわけなんだ」。また、日本店のソムリエ、アラン・ユッソンさんは、「日本のワインラバーはワインに対してとても柔軟。いろいろなワインにトライしよう、楽しもうと積極的ですね。ワインの説明をしていても、お客様と話が弾んでとても面白い」とにっこり。「ル・プレヴェール」で出会った造り手もワインも料理も、すべてがピュア。それが今の時代に求められているワインのスタイルとさりげなく主張していて、その組み合わせの妙に、確かに“食のモード”が感じられた。

左がオーナーソムリエのマークさん、右が東京店ソムリエのアランさん。アランさんは日本語が流暢なので、何でも相談を!ここで紹介したワインはいつでも「ル・プレヴェール」で楽しめる。
グラン・ヴァンが大手メゾンのオートクチュールやプレタ・ポルテだとするなら、“ブティックワイン(生産数が少ない上質なワイン)”も多く存在する自然派ワインは、新人クチュリエによる着心地の良いコットン・シャツ。そんな感じといったらわかりやすいだろうか。「ル・プレヴェール」には、もちろんこれ以外にも、まだあまり世に知られていないおいしい自然派ワインが多いので、ワイン選びに迷ったら、臆せずソムリエのアランさんに聞いてみてほしい。自然派ワインを通じて、きっとまた、新しいフレンチの食のスタイルに出合えるはずだ。
DATA
ル・プレヴェール
東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE4F
TEL 03-3486-1603 無休
11:30〜14:30(LO)(土・日曜15:00 LO)
17:00〜22:00(LO)(金・土曜22:30 LO、日曜21:00 LO)
ランチコース平日 1350円〜(1950円〜)ディナー4800円〜