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「バリには椰子の木より高いビルを建ててはいけない、というルールがあります。だから、本当に遠くまで見渡せるし、風も通るんですね。家の中を風が吹き抜ける時の開放感! とっても気持ちがいいんです」 と、そこまで話した後、突然、「最近、日本では個室ダイニングというのが流行っているんでしょう?」と尋ねられました。「ええ、すごく流行っていて、お店もたくさんできてるんですよ」と答えると、いぶかしげに首をかしげた姿月さん。 「うーん。どうしてそんなに閉め切ったちっちゃいところに、皆で固まるんでしょうね? いえ、私もずっと日本にいたら、いそいそとそういったレストランに出かけていると思うんですよ(笑)。ただ、バリ島で3年半暮らした後の私には、息苦しい感じがします」
「最近、日本に戻ってくるとせわしなくて具合が悪くなっちゃうんです(笑)。バリの人々は急がないですし、“待つのは当たり前”なんですね。私もそれにすっかり慣れたのかなあ」
「日本では仮住まいなんです。本当は、パーッと部屋のカーテンを開けておきたいのですが、窓の外を見ても、見えるのはビルの壁だけ。今もほら、ビルの壁しか見えないですものね。カーテンを閉めるのはイヤですが、ビルの壁が目の前にあるのはもっと息苦しくて、つい閉め切ってしまうんです」 自然と一体となった暮らし。ゆったりと流れる時間。世界中から訪れる人々を笑顔で迎えてくれる、素朴なバリの人々―― 魅力あふれるバリ島は、姿月さんの心をとらえて離しませんでした。 「このバリ本が好評だったら、ケアンズ本も出しちゃおうかな」と笑って言った姿月さんの表情は、“心の凝り”がすっかりほぐれたような、やわらかな笑顔でした。『優しいバリ 私が「わたし」に返る島』を持って、バリの風に吹かれたら、その風は、気がつかないうちに重くなっていた私たちの心も軽くさせてくれそうです。 インタビュー/中沢明子 バリ撮影/増島 実 |
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