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小澤征良(おざわ せいら)
1971年米国サンフランシスコ生まれ。
上智大学比較文化学部卒業。メトロポリタン歌劇場演出家、デイヴィッド・ニース氏の助手としてオペラ演出を学ぶ。「音楽の友」「25ans」などにエッセイを執筆。『おわらない夏』は、初めての長編作品となる。
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| 集英社刊 |
本体1,300円+税
ISBN:4-08-774622-4 |
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毎夏を過ごした「タングルウッド」での思い出が、みずみずしいほどの感受性とともに、色鮮やかによみがえる……。
『すばる』2002年8月号に掲載され大好評を博した作品、待望の単行本化! |
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「子供の頃、馬車の絵を描くのが好きだったんです」
と征良さんが話し始めたときはびっくり。お花の絵を描くのが好きでした、おうちの絵を描くのが好きでした、という人ならたくさんいるだろう。でも「馬車の絵」なんて……いったいどんな馬車なんだろう?
「馬車自体が、ひとつの村みたいになっているんです。パンを焼く人がいたり、見張りの人がいたり、いろんな役割の人がいて。『ここにこれを置こう』『こっちにこういう人もいたほうがいいな』って、ワクワクしながら描いたのを覚えています」
「今年の秋、長野・松本の『サイトウ・キネン・フェスティバル』で演出助手の仕事をしていたとき、不思議な感覚にとらわれた瞬間がありました。舞台のそでから見ていると、主役がスモークの中で淡いブルーの照明を浴びて幻想的。観客席にはたくさんの人がいる。舞台の裏には大道具さんや衣装さんがいて、オーケストラの人はそれぞれの楽器を演奏している……主役だけでも成り立たないし、観客だけでも成り立たない。全ての人がそれぞれのパートを一生懸命やっていて、全てが全体の一部なんです。あぁ、こういうのってすごく好きだな。なんだっけ、このフィーリング……と考えたとき、ふっと、小さいときによく描いていた馬車のことを思い出した」
「『あぁ、これはあの馬車と同じだ。オペラの仕事も、ひとつひとつを積み上げて、それぞれが自分の役割を果たして、はじめてひとつの世界が完成する。だから私はこの仕事が好きなんだ』と、初めて気づきました。小さい頃に好きだったことって、ずっとひきずっているんですね。書くことにも共通点があると思う。子供の頃、馬車でひとつの世界を作ったように、書くことでひとつの世界を作っていけたら……そういう書き方ができたらな、と思うんです」
「昔、パイロットになりたい、と思っていた時期もありました。子供の頃から父の仕事の関係で、飛行機に乗ってあちこちつれて行かれることが多かった。夜中、みんなが寝静まっているときにブラインドをあけて外を見ると、夜の空が近くて深い。その神秘的な空を見るのが大好きでした。パイロットっていいなぁ、いつもこんな空を見られて、世界中のいろんなところに行ける。行きたいところに自分で行ける。そんな冒険に憧れたんです」
「でも私にとっての冒険は、そういう形じゃなくてもいい。今まで全く経験のないクリエイティブなことに挑戦するのも冒険ですよね。新しいことに挑戦するのはこわい。でも、こわいからやめてしまうのはイヤなんです。やってみて失敗するほうがいいや! と思う。小説という形で世界を創造するのも、ひとつの冒険。いつか、その冒険にも挑戦してみたいんです」
『おわらない夏』では、思い出を忠実に書いた。けれどもこれはまだ、征良さんという馬車のほんの一部。これから彼女は、どんな作品を私たちに見せてくれるのだろう。
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タングルウッドのメインゲート。この地で過ごした、きらめくような日々を書きとめて、小澤さんの新たな「冒険」が、これからはじまる。(撮影/小澤征良) |
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インタビュー・文/石川敦子
撮影/関俊也 ヘア&メイク/富岡浩子(パジャパティ) |
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