ドキュメンタリーとアニメーションを融合させた、
アーティスティックな社会派ドラマ
『戦場でワルツを』 11月28日公開
(C) 2008 Bridgit Folman Film Gang, Les Films D'ici, Razor Film Produktion, Arte France and Noga Communications-Channel 8. All rights reserved


2006年、冬のイスラエル。24年前に19歳でレバノン戦争に共に従軍した旧友ボアズから、悪夢に悩まされていることを告げられた映画監督アリ。自分には当時の戦争の記憶がまったくないことに気づき、奇妙な感覚に襲われる。映画監督で臨床精神科医の親友オーリに勧められて、アリは失われた記憶をたどることを決意。世界中に散らばっている戦友たちを訪ねる旅に出る。取材を続けるうちにアリは、ある難民キャンプでの虐殺事件にたどりつく。

製作・監督・脚本:アリ・フォルマン/美術監督・イラストレーター:デビッド・ポロンスキー/アニメーション監督:ヨニ・グッドマン/出演:ボアズ・レイン=バスキーラ、オーリ・シバン、ロニー・ダヤグ(11月28日公開/上映時間・1時間 30分/2008年度作品/ツイン&博報堂DY配給/イスラエル・独・仏・米合作/原題『Vals Im Bashir』)

「美しくて悲しい、詩的かつ芸術的な映像世界に感激」
1982年、イスラエル軍によるレバノン侵攻。サブラ・シャティーラ地区のパレスチナ難民キャンプで大量虐殺が行われた当時、監督のアリ・フォルマンは19歳で従軍していた。本作はそうした自身の体験をもとに戦争の現実を描いて、昨年度のアカデミー外国語映画賞にノミネートされた。
この手の題材を扱うときに難しいと思うのが、事実をいかに伝えるかという手法だ。フィクションでドラマティックに脚色されると嫌悪感を覚える一方、事実を忠実に再現されるとドキュメンタリーにしてくれよと思ってしまう。しかし真っ向勝負のドキュメンタリーでは映画館へ足を運ぶ際に、敷居が高く感じる。
ドキュメンタリーの手法をとりながらもアニメーションとして製作された本作は、そうした問題をすべてクリアしている。あくまでも一個人の見地から製作したというフォルマン監督は、自らの心象風景を幻想的かつ芸術的に描きながら戦争を追体験していく。「戦場には、よく映画で描かれるような友愛も団結も勇気も存在しない」という監督の言葉の意味が、意外なほどのリアリティと共に伝わってくる戦争映画の秀作だ。
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