

自然食の料理教室に出かけ、お気に入りのブックカフェを紹介し、若い陶芸家のアトリエを訪ね……。家の中だけではなく、外に出て、暮らしを楽しくする仕事につく魅力的な人に会うのも、新刊『日々が大切』のテーマの一つ。次はこの人に会いたい、そんな好奇心は誰にも負けない大橋さん。
「単なるミーハーなんです。でも、ほんとは、できれば誰にも会いたくないって思うほう。会いたい人に会うのはとっても緊張しますから」
とはいえ、雑誌『平凡パンチ』の表紙を描いていたデビューのころから、人とはよく会ってきたという。
「人を描く仕事でしたから、かっこいい男性モデルとか、レーサーの人とか……いろいろな人に会ってきました。でも別に私はインタビュアーでもなんでもないので、ただお茶を飲んだりしているときに私も混ざっている感じなんです。その頃は、会ったからといって、自分の方向性が変わるとか、そういう会い方ではなかったです。
でも、この連載でお会いした方もそうですし、『アルネ』(注:大橋さんが企画・編集を務める雑誌)でお会いした人もそうですが、私自身の世界が広がる出会いだったんですね。先日も『アルネ』でよしもとばななさんにお会いして、彼女の洋服に対する考え方を伺ったんです。“着る服というのは、自分に要らないものを省いていって、最終的にどういうものが必要かというのが見えてくる。それはつまり、私の人生そのもの”というようなことをおっしゃって、私はなるほど、と。私の中にある「洋服」というものが、一つ先に進む感じがしました。私の年でやっとそれ? と思われるかもしれないけれど、これが私のペースで、ようやくここに来られた。私にはちょうどいいって思えるんです」
『LEE』連載中、特別編として、北欧やパリなどの海外出張にも出かけた。そのときの体験も貴重だったと大橋さん。
「デザイナーのクローディ・ピエルロさんに会いに行ったとき、お話が終わっても、編集者の方がこっちもあっちもと写真を撮らせていただいていたんです。すごいなーと思いましたね。こんなに図々しくしてもいいんだ、と(笑)。『アルネ』で人に会いにいくたびに、あのときのことを思い出すんですけど、なかなかできない。ちょっと、ここいいですか? って撮って、でも、それ以上言えなくて帰ってきてた。でも最近は、アシスタントについて来てもらうので、彼女が“ここも撮らせていただきますか?”と気をきかせて言ってくれるので、最近はちゃんと撮らせてもらうようになってきました。そう考えると、連載の14年間は、ずーっと今の私につながっています」
インタビュー・文/おおくにあきこ