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何十年たっても忘れられないあのセリフ、あの場面。
そんな永遠の名作を、作者のインタビューや担当者の裏話などとともに紹介するコラムです。 |
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女の幸せはやっぱり結婚? それとも自分のやりたいことをみつけること? 揺れ動くヒロイン・有羽は、恋人との関係の中で、その答えをみつけていく。意外なラストには賛否両論あったが、この作品に後押しされて、当時、自立の道を選んだ読者も多いのでは!? |
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槇村作品には、年上の力強い先輩がよく登場する。『おいしい関係』では千代ばあ。『イマジン』では美津子さん。『Real Clothes』では美姫(みき)様。どれも槇村さんの目指す理想像だ。「美津子さんは、旬の女の範囲内で、まだ瑞々しさがありますけれど、美姫様はカサッとしていますからね(笑)。今はそういう方向に興味が移っているのかもしれない。つまり美津子さんが、美姫様になって、最後は千代ばあになるってことですかね(笑)」 |
男が10匹いたら、8匹は田中くんだと思います。
私が好きなのは遊び心のある本能寺タイプ。
娘と母親のキャラクターが正反対であるのと同様に、ふたりがつきあう男性もまた対照的。有羽(ゆう)の恋人・田中(たなか)くんは、一見ソフトでやさしそうだが、考え方がコンサバで女性の生き方を型にはめようとするタイプ。それ対して美津子(みつこ)の恋人・本能寺(ほんのうじ)は、プレイボーイの軟派男だが、美津子によって本物の愛に目覚めていく。
「男が10匹いたら、8匹は田中くんだと思います(笑)。私の周りも表面は本能寺なんだけれど、中身は田中くんって人がいっぱいいました。彼らはこのまんがを読んで、『田中はいいヤツだ』と。でも、『本能寺みたいに女の尻を追っかけまわしている男はダメだ』って言ってましたね。
男が思い描く男像と、女性が男性に求めるものって、すごく差があるんだなと思いましたね。有羽ちゃんと田中くんの関係がギシギシする感じとか、これを描いて、すごくよくわかりました。
私が好きなのはもちろん本能寺タイプ。素直な人で、いろんなことに好奇心を持っている人が好きなんですよ。美津子さんがふざけて本能寺にお化粧をするシーンがありますが、ああいうとき、『いや、オレはゲイじゃないから!』って拒否するようなガチガチな人じゃなくて、何かお化粧されて、まんざらでもないって感じの人の方が好き(笑)。やっぱり遊び心がある人かいいですよね」
大切なのは“自立”と“共存”。侵されない境界線を
持ちつつ、他者とつながることが大事だと思います。
4人の恋愛模様と平行して、この物語の重要なテーマとなっているのが、有羽の「自立」だ。ときは90年代半ば。バブルがはじけ、「3高男」との結婚がよりステータスになっていた時代。男性に依存して生きる女性たちが相変わらず多いことに、槇村さんはもどかしさを感じていた。
「私自身は、自分で仕事して稼いで、自立することが普通だと思っていたので、何なんだろうと。とくに20〜30代の人に向けて描くものだったので、この時期に必死で仕事しなかったら、もうこの先、チャンスはないじゃないですか。それで強烈に“自立”というテーマを前面に押し出して描いたんです。
そうしたら『槇村さんと言ったら自立漫画家だよね』って言われるようになって、なんか『女ひとりで生きていきます』みたいな感じになっちゃって、それは違うぞと(笑)。最終的には“自立”と“共存”が大切だと思う。侵されない境界線を持ちつつ、恋人とつながったり、友達や社会とつながったりすることが大事だと思っています」
物語のラストも、有羽が田中くんからも母親からも卒業し、自立へのステップを大きく踏み出すところで終わっている。しかし読者からはこのラストに、「なんで田中くんと別れさせたんですか!?」「ふたりは結ばれると思ってたのに!!」という反対の声が多数寄せられたのだとか。
「こんなに何巻もかけて、有羽ちゃんと田中くんがうまくいかないワケを描いてきたのに、結婚すると思っていたのかと(笑)。ここまで女性たちの結婚願望は強いんだなとあらためて思い知らされました。私自身は有羽が脱皮して、中から蝶々が出てくるというシーンをずっと描きたかったので、ラストの方でそれが描けて満足でした」
船の舳先に一条さんとふたりで立っている感じ。
『先輩が欲しい!』と『Real Clothes』を描きました。
それでも槇村さんはブレることがない。仕事を通して、自分らしさや自分の居場所をみつけることが、どれだけその人の自信となっていくか……。まんがを通して、そのことを描き続けている。
だからこそ、仕事で疲れたとき、家庭生活に疑問を感じたとき、私たちは勇気づけてもらいたくて、槇村作品を手にとってしまうのだ。
現在、『YOU』で連載中の『Real Clothes』も、そんな作品のひとつ。ファッション業界を舞台に、力強く羽ばたいていく女性の姿を描いたこの作品は、今また多くの読者の心をつかんでいる。
「長くこの仕事を続けて来て、ふっと気がついたら、集英社では私の前には一条(ゆかり)さんしかいなくなっていたんですよ。
今、映画の『タイタニック』みたいに、ふたりで船の舳先に立っているような感じ。先頭が一条さんで、その後ろに私がいるの(笑)。何かその状態がすごく心細くて、『先輩が欲しい!』と思うようになったんですね。
それで、まず先に、先輩、後輩という人間関係の構図だけ決めて、あとから舞台をどこにしよう……と考えました。
で、最終的に残ったのが、出版社と映画配給会社と百貨店だったんですが、出版社は『働きマン』があって、私も好きだったから同じようなのは描きたくないなと。映画の話だと、『ガラスの仮面』みたいに、毎度、映画の内容を描くのは私にはとうてい無理…と。
そうしたらスタッフのひとりが、『お洋服なら描いていて楽しいね』と言うので、『じゃあ、締切りも近いし、それでいいかな』って(笑)。洋服はもともと大好きで、
じつは『おいしい関係』も『ワードローブ』というタイトルで、ファッション業界を舞台にするという案もあったりして、じゃあ、この機会に描いてみようと思いました」。
10月からは『リアル・クローズ』のドラマ化もスタートしている。
「まんがとドラマは別ものだと思っているので、ドラマとして自分も楽しめたら最高だなと思っています」
(取材・文/佐藤裕美)
*毎週木曜日更新予定
次回は11月26日 きら『まっすぐにいこう。』
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