ずっと描きたかった魔法少女まんが。
この作品でその夢が叶ったんです。
主人公の姫(ひめ)ちゃんはヤンチャでおてんばな“男の子みたいな女の子”。そんな彼女の前に、魔法の国の王女様・エリカが現れる。彼女の目的は「魔法の国では王家を継ぐための修行として、ひとりの人間を一年間観察して日記をつけること」。そのターゲットに選ばれたのが姫ちゃんだったのだ。それを了承してくれた姫ちゃんのもとにエリカは「お礼としてコレを貸してあげる」と、なりたい人に1時間だけ変身できる“魔法のリボン”を置いていく……。
「私ね、幼い頃から“魔法少女ものアニメ”が大好きだったんですよ」
数ある魔法少女もの作品のなかでも水沢先生が夢中になったのが『ひみつのアッコちゃん』。コンパクトを開き呪文を唱えると違う人に変身できる……幼い頃はそんなアッコちゃんのマネをしては妄想をふくらませていたんだとか。
「自分が夢中になっただけに“いつか私も魔法少女ものを描いてみたい”ってずっと思っていたんですよね。その願いが叶ったのがこの『姫ちゃんのリボン』。それだけに、本当にこの作品は描くのが楽しかった!! 毎回、ノリノリで原稿用紙に向かっていたような気がします(笑)」
連載当初から秘かにアニメ化を意識してこの作品を描いていたという事実も!?
「そうなんですよ(笑)。“魔法少女ものを描くからにはアニメにしたい!”と思っていて。例えば、姫ちゃんの学校の制服に関しても“アニメで色塗りするときに混乱しないように”って、夏服と冬服のデザインはそのままに袖の長さだけ変えてみたり……勝手にアニメ化を意識して描いてましたね。そんなオファーなんて全く来てなかったのに(笑)」
そんな先生の努力の成果か!? 後に実際にアニメ化が決定。当初1年連載を予定していた今作も「連載も好評だし、もう少し続けようか」という展開に!!
「1年で終わる予定だからこそエリカの修行期間も1年に設定していたんですよ。それだけに、ものすごく嬉しくはあったんですけど、正直、戸惑いもしました。エリカの修行期間を延ばすにしても、いつ連載が終わるかどうかも決まっていない状態だったので、どれくらい延ばしたらいいのか見当もつかなくて……その結果、“もうしばらく日記を継続することを命ずる!”なんてセリフを王様に言わせることになってしまったんですよね。“もうしばらく”って……曖昧にもほどがありますよね(笑)」
自分のなかに存在する“憧れの女の子像”と
“憧れの男の子像”がキャラクターになって登場。
主人公の姫ちゃんは、深く考えずに行動にうつしてしまうアクティブタイプのオッチョコチョイ(笑)。それだけに、変身したまま元の姿に戻れなくなってしまったり、魔法のリボンの秘密どころか魔法の国の存在が人間界にバレてしまいそうになったり……事件を次々と巻き起こす!! そんな姫ちゃんを影で支えてくれたのが同級生の小林大地(こばやしだいち)。姫ちゃんと大地の恋がどうなるのか!? それもまた今作の見どころのひとつ。
「姫ちゃんは私の
憧れの女の子像なんです。私はどちらかというと、仲の良い友達の前では面白いこともできるんだけど、男の子や大勢の前だと緊張して大人しくなってしまう女の子だったので。男女関係なくたくさんの友達とフランクに接することのできる、姫ちゃんみたいな女の子にずっと憧れていたんですよね」
大地にもまた、水沢先生の“憧れ”が織り込まれているんだとか!?
「常に影から見守っていてくれて、いざというときは助けにきてくれる……まんがでいうと
『ベルサイユのばら』のアンドレが大好きで。そういう私の理想の男性像が大地に反映されていることは否めないですね(笑)」
今作の制作の裏にはこんなエピソードも。
「姫ちゃんの住む風立(かぜたち)市は
東京の国立(くにたち)市がモデルなんです。当時、知り合いが国立市の中学校教諭をしていて。参考資料集めを目的にその方が勤めている中学校を見学しに行ったんですよ。そこで訪れた国立の町並みが姫ちゃんのイメージにピタリとハマったので。風立市の駅なんかは国立駅そのままに描いているんですよ」
見学に行った中学校では様々なインスピレーションを受けることができたとか。
「最近はあまり行ってないんですけど。昔はよく、新しい作品に取りかかるとき、学校に見学に行っていたんですよ。実際に学生さんたちが生活をおくっている場所を目にすると
“こういう場所で主人公が告白したらいいなぁ”とか
“ここから好きな人の部活中の姿を眺めるんだろうなぁ”とか、ストーリーがふくらんでいったりするんです。見学に行った場所がそのまま作中に登場することもあるんですよ。『姫ちゃんのリボン』では、屋上に続く階段が姫ちゃんと大地の秘密の場所になっているんですけど。そこもまた、実際にあった場所。階段を隠すように置いてあるオバケの看板も、実際にその中学校にあったものなんです」
(取材・文/石井美輪)
*毎週木曜日更新予定
次回は11月27日 水沢めぐみ『姫ちゃんのリボン』(2)