少女まんがをほとんど読まずに描いた
初投稿作でまさかの新人賞受賞!!
やっていけるとか、いけないじゃない。
私はまんが家としてやるべきなんだ!
『月の夜 星の朝』という作品は、本田さんにとってどういう存在なのか。執筆当時を振り返っていただくと、
「苦しかったです(笑)」という衝撃の感想が。
「当時は『りぼん』という雑誌も勢いがあったし、
まんが雑誌全体が盛り上がっていた“まんがの黄金期”でしたからね。だからこそ、ちゃんとした作品を描かなきゃと思って、
プレッシャーと戦っていた記憶がありますね。2年以上続いた連載ですが、最後まで“今回はうまくいった!”と思えた回はなかったなぁ。いつもバタバタとどうにかして仕上げていました。それだけ一生懸命取り組んでいたということだと、今になれば思えますが。
私自身、体調も上がったり下がったり安定しなかったし、まんが家としてやっていくかも迷っていた時期でしたから。その迷いがいい形で出た作品だと思います。私のどこか自信を持てなかった気持ちが、主人公のりおに投影されていますよね」
そのハードな時期を乗り越えられたからなのか、この連載を終えたときには本田さんの弱かったはずの体が、すっかり元気に。そして、ようやくまんが家としてやっていく決意も固まったのだと言います。
「私、まんがって作家の先生がひとりとアシスタントひとりくらいで描いているものだと思っていたんです。でも、実際には打ち合わせしてアイデアをくださる担当さんがいて、日々の生活で私を助けてくれる人がいて、取材をさせて下さる方がいて、読者の方がいて、その中でファンレターを下さる方もいて……。そういった
多くの方に支えられて作品はできあがっていくんだってわかったんです。
ここまでやらせてもらえて、多くの方にこんなに期待をしていただけるなら、もう自信がないなんて言っていたらダメなんだって『月の夜 星の朝』を描いて思えました。
自分がやっていけるとか、やっていけないじゃなくて、私はまんが家としてやるべきなんだと。今もこの作品を読み返すと、そうやって決意した初心に戻ることができる。私にとってそういう作品です」
(取材・文/古川はる香)
*毎週木曜日更新予定
次回は11月20日 水沢めぐみ『姫ちゃんのリボン』