初連載のころから
ずっとあたためていた作品なんです。
南野まりあ(みなみのまりあ・女)と南野のえる(みなみののえる・男)は双子。いつも一緒にいた二人だけれど、ある日「初恋の人のそばにいたい」とまりあが全寮制の学校に転入してしまう。姉離れできていないのえるは「まりあを他の男に取られたくない! 俺もまりあと同じ学校に通う!」と意気込むが、男子寮はすでに定員オーバー。1名だけ空きのあった女子寮に“女子生徒”を装い入寮することに……。
“男の子”が女装し“女の子”として寮生活を送る。そこで巻き起こる恋愛ハプニングを面白おかしく描いたラブコメディ。実はこの作品は、吉住さんのなかで長い時間あたためていたものなんだとか。
「初めて連載を描かせてもらうことになったとき、内容を決めるための打ち合わせに3つネタを持っていったんですよ。それが『四重奏ゲーム』、『ハンサムな彼女』、そしてこの『ミントな僕ら』だったんです」
初連載は3回連載ということもあり「『ハンサムな彼女』はもう少し長く描きたかったので」候補から消え、『四重奏ゲーム』と『ミントな僕ら』が有力候補に。吉住さんは「『ミントな僕ら』がいいと思った」ものの、担当編集さんの「推理物がいい」という一声で初連載は『四重奏ゲーム』に決まったんだとか(笑)。「いつかカタチにしたいと思っていた」というこの作品をこのタイミングで描こうと思ったのはこんなきっかけがあったから。
「宮部みゆきさんの『夢にも思わない』というミステリー小説を読んだからなんです。その作品に描かれている中学生の初恋が本当に可愛らしくて。私も可愛い中学生のおはなしが描きたい!! そう思ったんですよね。そこで、この作品のことを思い出して。“そうだ、前に考えたあのネタをまんがにしよう!”と描き始めたんです」
タイトルの“ミント”も「そんな中学生のフレッシュさを表したくて」つけた言葉。
「今作は、とにかく可愛くて楽しいものが描きたいという思い先行の作品だったので、私自身、とても楽しみながら描いていた記憶が。特にノリノリで描いていたのが“クリス”(女装しているのえるを好きになるビジュアルバンドのナルシストヴォーカル)ですね。おバカさんを描くのは本当に楽しい(笑)」
“まんが”は“まんが”だからこそ面白い!
だから、そこに自分自身を重ねようとは思わないんです。
「『ママレード・ボーイ』でも描いたんですけど、私、
男の子の女装ものってなんか好きなんですよね。また、
双子も好きで。双子ネタは他の読み切りでも描いたことがあるんですよ。なんとなく、面白みを感じるんですよね」
そういう吉住さんはお姉さんとの二人姉妹。
「素敵なお兄さんはほしいと思ったことはあるけれど、それをまんがに描いたことはないんですよね」
吉住さんは、
自分自身を作品に重ねないタイプ。「考え方とか経験は無意識に作品に反映されているのかもしれないけれど、基本的に、意識して自分の実体験などを盛り込むようなことはしない」とか。
「やっぱり、
“まんが”は“まんが”だから面白いんだと思うんですよ。“こんなこと実際にあるわけないよね”っていう想像の世界だからこそ楽しいというか」
この『ミントな僕ら』も、まさにそんな“まんが”ワールドが炸裂した世界!
「私自身“実写化は無理だろう”と思っていたんだけど。
フランスからは実写化のオファーがあったんですよ(笑)。最近は、海外版のコミックスも流通しているので(特にフランスは日本のまんががブームになっている)それを読んでくれてのオファーだったんだと思うんですけど。それには“いいですよ”とOKの返事をだしたんですけど、それ以降、連絡がないので、“やっぱり無理だ”とポシャッたんじゃないかな(笑)」
意外なところからの実写化のオファー!! ちなみに、意外つながりでいうと「この作品、男性からの反響が大きかったんですよ」と吉住さんは笑う。
「この作品を連載しているときは、よく男性からファンレターをいただきました。男性だから、まりあに反応しているのかと思いきや、みなさん、のえるに反応していて。しかも、
素ののえるではなく女装したのえるに(笑)。どこが萌えポイントだったのか、描いている当人にはよくわからないんですけど(笑)」
(取材・文/石井美輪)
*毎週木曜日更新予定
次回は10月30日 本田恵子『月の夜星の朝』