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松苗あけみ
『純情クレイジーフルーツ』
集英社文庫
<コミック版>全1巻
三流私立女子高に通う、実子、桃苗、沢渡くん、みよちゃん。仲良し4人組を中心にリアルで本音だらけの女子高生活を描いた学園ラブコメディ。ドタバタな日常の中で、彼女たちが時折見せる人生の刹那にグッとくる名作。担任の小田島(おだじま)先生も超カッコイイっす。
試し読みする!!

松苗あけみprofile
1956年、東京生まれ。雑誌『リリカ』(サンリオ)の創刊号よりカットを描き、77年、『約束』でまんがデビュー。この頃、一条ゆかり先生のアシスタントをしていたことも。79年に『ぶ〜け』に移り、82年『純情クレイジーフルーツ』でブレイク。88年には『純クレ』で講談社漫画賞を受賞。『山田くんと佐藤さん』『Hush!』『ロマンスの王国』など話題作多数。最近は愛猫を描いたエッセイまんがも人気。

1982年はこんな時代でした!!
●出来事・事件 日航機の羽田沖墜落、ホテル・ニュージャパン火災、テレホンカード使用開始
●流行 CDプレイヤー、カロリーメイト、無印良品、おっとっと、逆噴射、心身症、ネクラ、ルンルン、E.T.、芸術は爆発だ!
●ヒット曲 赤いスイートピー(松田聖子)、待つわ(あみん)、ハイティーン・ブギ(近藤真彦)、めだかの兄妹(わらべ)

今後、登場予定の作品
■小花美穂
『こどものおもちゃ』
ほか多数

バックナンバー
■紡木たく『ホットロード』(1)
■紡木たく『ホットロード』(2)
■紡木たく『みんなで卒業をうたおう』
■紡木たく『瞬きもせず』

■くらもちふさこ『おしゃべり階段』『いつもポケットにショパン』
■くらもちふさこ『東京のカサノバ』
■くらもちふさこ『天然コケッコー』(1)
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■いくえみ綾『POPS』『彼の手も声も』
■いくえみ綾『I LOVE HER』
■いくえみ綾『バラ色の明日』(1)
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■一条ゆかり『デザイナー』
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■岩館真理子『えんじぇる』
■岩館真理子『遠い星をかぞえて』『子供はなんでも知っている』
■岩館真理子『黄昏』

■亜月裕『伊賀野カバ丸』(1)
■亜月裕『伊賀野カバ丸』(2)
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■尾崎南『絶愛-1989-』
■尾崎南『BRONZE-ブロンズ-ZETSUAI since 1989』(1)
■尾崎南『BRONZE-ブロンズ-ZETSUAI since 1989』(2)

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■槇村さとる『愛のアランフェス』(2)
■槇村さとる『ダンシング・ゼネレーション』『N★Y(ニューヨーク)バード』
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■松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』(1)
■松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』(2)
■松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』(3)
■松苗あけみ『続・純情クレイジーフルーツ』

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担任の小田島先生に恋心を抱くヒロイン実子。でも憧れがやがて現実味をおびてくると、つい尻込みしてしまう。そんなもどかしさは、ふたりの関係をどう発展させていくか戸惑う松苗先生自身の姿でもあった!?
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これが問題の初キスシーン!?「小田島先生のような男性は結構好きです。諦観を持ってる人。人生、いいことだけがあるわけじゃないみたいな人はいいですよね。でも、じつはいちばん描きやすかったのは梅本(うめもと)。なんか悪役のほうが描きやすい。心によこしまなものがある人を描くのが好きなんですよね(笑)」
実子と先生の関係になると、まったく腰砕け。
どうやってふたりをくっつけたらいいのか悩みました。
 連載当時『純クレ』ファンをやきもきさせたのは、実子(じつこ)と小田島(おだじま)先生の恋の行方。最初はまるで冗談だったのが、だんだんとリアリティをもってくる。でも、ふたりの思いが微妙に交錯して、一歩進めば二歩後退。「ふたりはどうなっちゃうの!?」ともどかしく感じた読者は多かったはず。

 じつは松苗先生、このふたりの関係に、いつも頭を痛めていたそう。
「ヒロインと相手役はいずれ結ばれなきゃいけないという、そこに向かって描かなきゃいけないんですけれど、まったくわからないんですね。今読み直すと、そこを悩んで描いているのがわかりますね。

 脇キャラの沢渡(さわたり)くんや桃苗(ももなえ)の話は、自分でも『結構おもしろいかも』というものが描けるんですけれど、実子と先生の関係になると、まったく腰砕けになってしまって。

 まぁ、タイトルに“純情”なんてつけたくらいだし、当時の少女まんがって、今と違って裸も描けないし、一線を越えるのもダメ。『キスまでね』みたいな不文律があったので、いつもそのへんを行ったり来たりしている感じでした」

 さらにそのキスシーンもじつは描くのが苦手だった。たとえば実子と小田島先生が保健室で初めてキスをするシーン。重要な場面なのだが、実際にキスの現場は描かれていない。

「これってどうなの!?」「本当にしちゃったの!?」と、当時の読者は騒然となったのだが、「そう、これはキスをしているんですよ。でもそこを描いてないのは演出というより、本当はキスシーンがうまく描けなかったから。それで省略してしまったんです」と松苗さんは笑う。

 しかしエロティックなシーンこそないけれど、実子が時折ふと見せる大人の表情はミョ〜にセクシーでドキッとさせられるし、そこに惹かれていく小田島先生の気持ちは、読み手にはとてもよく伝わってきた。

「あれは女の顔、ではなくて、疲れたおばさんの顔なんですけどね(笑)。今は50歳、60歳になってもおばさんになりたくない、という人ばかりだけど、昭和40年代の女子高って、進学校以外は卒業して2〜3年以内に結婚して、20代前半には子どもを産んで……という。そういう生き方しかない時代だったんです。

 まだ女子高生がもてはやされる前で、ほこりっぽい制服を着て、ふてくされた顔をして集団で町を歩いてる。女子高生といえば、そんなイメージでした。だからこそ、すぐにおばさんになってしまうというあせりや不安もあったし、その前の一瞬の輝きも強烈だったと思うんです」

『純情』なんて、自分で口に出すのも恥ずかしい(笑)。
でも強烈で目立つタイトルをつけようと思ったんです。
 ところで『純情クレイジーフルーツ』というタイトルはどこから思いついたのだろう。80年代っぽさを彷彿とさせる、時代観のあるタイトル。その響きを耳にしただけで、懐かしくて、きらきらとした気持ちにさせてくれる。

「私、根本的に性格がひねくれてるので、自分で口に出すのも恥ずかしいタイトルをつけようと思ったんです(笑)。貧しいながらも幸せな家庭で育ったのに、何か物を書く人間はひねてなきゃいけないとでも思っていたかのように、物ごとをはすに構えて見る癖があったんですね。

 それで『純情』という言葉は、当時の歌謡曲にはよく使われていたんです。いかにもおじさん作詞家が、『アイドルの女の子にこういう歌を歌わせると、おじさん、うれしいぞ』みたいな、ちょっと恥ずかしい感じがあって(笑)。それから『クレイジーフルーツ』は、ご想像の通り、日本映画の『狂った果実』からとりました。

 初めてもらった6回連載で、普通なら『いちばん好きな言葉を選んでタイトルにしよう』って思うじゃないですか。ところがその頃はまったく売れてなかったので、とにかく目立てばいいやと。何かそういう意気込みがあったんでしょうね。あとで激しく後悔しましたけど(笑)」

(取材・文/佐藤裕美)

*毎週木曜日更新予定
次回は9月11日 松苗あけみ『続・純情クレイジーフルーツ』


★以下の作品について、感想、当時の思い出などを募集しています。

松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』『続・純情クレイジーフルーツ』

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