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亜月裕
『伊賀野カバ丸』
集英社文庫
<コミック版>全4巻
金玉学院の院長・大久保蘭は、初恋の人・才蔵の孫であるカバ丸を自分の学園で預かることになる。しかしカバ丸は山奥で忍者の訓練に明け暮れていた野生児。見るものすべてが新しい都会での生活の中で、次から次へと事件を巻き起こす。さらに蘭の孫娘・大久保麻衣にひと目ボレして、恋のトラブルにも巻き込まれていく。少女ギャグまんがの歴史にさん然と輝く、ドタバタ学園ラブコメディ。
試し読みする!!
『伊賀野カバ丸』第3巻の試し読みができます。
第1巻は、バックナンバーの『伊賀野カバ丸』(1)で試し読みすることができます。
第2巻は、バックナンバーの『伊賀野カバ丸』(2)で試し読みすることができます。

亜月裕profile
埼玉県出身。
1975年、別冊マーガレットにて『洋介クンの事情!?』でデビュー。初連載となった『伊賀野カバ丸』でブレイク。『カバ丸』はテレビアニメ化、および実写映画化された。90年代以降は『週刊プレイボーイ』や『モーニング』など男性誌でも連載するなど意欲的に活動。現在は、主に女性漫画誌『YOU』で執筆中。

1979年はこんな時代でした!!
●事件・出来事……東名日本坂トンネル事故、三菱銀行猟銃人質事件、アメリカと中国が国交を樹立、イギリスでサッチャー首相誕生
●流行……ウォークマン、日本語ワープロ、超音波美顔器、エガワる、ダサイ、にゃんにゃん、キャリア・ウーマン、映画『クレーマー・クレーマー』
●ヒット曲……ジュディ・オング『魅せられて』、山口百恵『美・サイレント』、桑名正博『セクシャルバイオレットNo.1』、久保田早紀『異邦人』

今後、登場予定の作品
■小花美穂
『こどものおもちゃ』
ほか多数

バックナンバー
■紡木たく『ホットロード』(1)
■紡木たく『ホットロード』(2)
■紡木たく『みんなで卒業をうたおう』
■紡木たく『瞬きもせず』

■くらもちふさこ『おしゃべり階段』『いつもポケットにショパン』
■くらもちふさこ『東京のカサノバ』
■くらもちふさこ『天然コケッコー』(1)
■くらもちふさこ『天然コケッコー』(2)

■いくえみ綾『POPS』『彼の手も声も』
■いくえみ綾『I LOVE HER』
■いくえみ綾『バラ色の明日』(1)
■いくえみ綾『バラ色の明日』(2)

■池野恋『ときめきトゥナイト』(1)
■池野恋『ときめきトゥナイト』(2)

■一条ゆかり『有閑倶楽部』(1)
■一条ゆかり『有閑倶楽部』(2)
■一条ゆかり『有閑倶楽部』(3)
■一条ゆかり『デザイナー』
■一条ゆかり『砂の城』

■岩館真理子『えんじぇる』
■岩館真理子『遠い星をかぞえて』『子供はなんでも知っている』
■岩館真理子『黄昏』

■亜月裕『伊賀野カバ丸』(1)
■亜月裕『伊賀野カバ丸』(2)
■亜月裕『伊賀野カバ丸』(3)

■尾崎南『絶愛-1989-』
■尾崎南『BRONZE-ブロンズ-ZETSUAI since 1989』(1)
■尾崎南『BRONZE-ブロンズ-ZETSUAI since 1989』(2)

■槇村さとる『愛のアランフェス』(1)
■槇村さとる『愛のアランフェス』(2)
■槇村さとる『ダンシング・ゼネレーション』『N★Y(ニューヨーク)バード』
■槇村さとる『白のファルーカ』(1)
■槇村さとる『白のファルーカ』(2)

■多田かおる『愛してナイト』(1)
■多田かおる『愛してナイト』(2)
■多田かおる『デボラがライバル』
■多田かおる『イタズラなKiss』(1)
■多田かおる『イタズラなKiss』(2)
■多田かおる『イタズラなKiss』(3)

■宮脇明子『ヤヌスの鏡』(1)
■宮脇明子『ヤヌスの鏡』(2)

■柊あおい『星の瞳のシルエット』
■柊あおい『耳をすませば』
■柊あおい『銀色のハーモニー』

■宮川匡代『ONE−愛になりたい−』(1)
■宮川匡代『ONE−愛になりたい−』(2)

■松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』(1)
■松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』(2)
■松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』(3)
■松苗あけみ『続・純情クレイジーフルーツ』

■吉住渉『ハンサムな彼女』
■吉住渉『ママレード・ボーイ』(1)
■吉住渉『ママレード・ボーイ』(2)
■吉住渉『ミントな僕ら』

■本田恵子『月の夜 星の朝』(1)
■本田恵子『月の夜 星の朝』(2)
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沈寝の双子の兄など、ゲイキャラ好きの亜月さんの好みはいたるところに反映されている。
カバ丸と疾風の関係もつい深読みしたくなってしまうが、豪遊と疾風の関係もボーイズ・ラブ好きには萌えるポイント! ちなみに豪遊のこの髪形、確かに往年のデビッド・ボウイかも!?
毎回ギャグを描いていると行き詰まってくるんです。
頭が酸っぱくなるくらい、一生懸命考えました。
 小さい頃から絵を描くのは大好きだったものの、「高校を卒業してからデビューまでの5〜6年間は何も描いていなかったし、まんがを読んでもいなかった」という亜月さん。

「それがあるとき、末の妹が読んでいたまんがを久々に見たら、『今のまんがって、こんなにすごいの!?』ってビックリするくらい素晴らしい作品だったんですね。
 それが萩尾望都さんの『トーマの心臓』で、それから萩尾さんにすっかりはまっちゃって、いろいろ読んでるうちにいきなり投稿してみたくなったんです。萩尾望都さんに憧れてこの世界に入ったって言うと、みんなに『え〜っ!?』って驚かれるんですけど(笑)」

 萩尾望都さんを目指していたはずが、いつのまにかギャグ作家として注目されるようになったことに、亜月さんはジレンマを感じてはいなかったのだろうか。
「その頃はまだ新人だったので、やっぱりうれしい気持ちが先に立ちましたね。やることなすこと、すべて新しいことだったので、それも楽しかったし。ただ『別マ』の表紙を初めて描かせていただいたとき、『できるだけ汚く下品にカバ丸らしく描いてくれ』と言われて、そのときはちょっと悲しかったです(笑)」

 楽しんで描いていたとはいえ、ギャグのネタ探しにはかなり苦労していたよう。内容からはまったく想像できないが、「頭が酸っぱくなるくらい(!)真剣に考えた」末に、あのバカ騒ぎは生まれていたのだ。

「ギャグまんがって、毎回、同じパターンだと飽きられてしまう。次々と新しい展開を考えないといけないのがたいへんでしたね。いつもカバ丸だったらどうするだろうって、気持ち悪くなるくらい考えていたんですよ。『頭が酢っぱくなる』とその頃は言ってました(笑)。

 担当さんにもいろいろアイディアを出していただきました。『今度、駅伝を入れたら?』と言われたときには、私“駅伝”を知らなくて、『え? 駅弁?』なんて聞き返して(笑)。それをそのままカバ丸のセリフにしちゃったり。

 自分ひとりでは、カバ丸は描けなかったと思いますね。私だけだと暗い方向へどんどん行ってしまうので。たとえば1巻目で、麻衣(まい)にビンタされるシーンがあるんですけれど、最初のネームでは、カバ丸が落ち込んで終わってたんです。

 でも、担当さんに『ここで落ち込んだらシリアスになっちゃうから、“なんちゃってね”みたいにしないとダメだ』と言われて、それで『そうだ! ヤキソバだった!!』とカバ丸が思い出す場面をつけて終わりにしました。そうやって担当さんが、いつも明るい方向に引っ張って行ってくれたんです」

『カバ丸』を描けたのは、本当に担当さんのお陰です。
今、読み返すと、自分が描いたとは思えないですね。
 周囲からのプレッシャーを跳ねのけてくれたのも担当編集さんだった。
「後で知ったんですけど、やっぱり上の人たちは『カバ丸』に反対だったみたいなんです。こんなにかわいい本なのに、“金玉”とか“忍者”とか合わないだろうって(笑)。
 でも担当さんは賛否両論の“賛”のほうしか私には言わなくて、本当は3回くらいで終わる予定だったものを『おもしろいよ』『すごくいいから続けよう』って、連載を後押ししてくれました。

 人気が出た後、全プレでカバ丸グッズを作ることになったとき、担当さんがはじめて『編集長とか上の人たちは、あんな下品なのはダメだって言ってたけど、ここまでできるようになってよかった』と明かしてくれて事実を知りました。『カバ丸』を描けたのは、本当に担当さんのお陰だと思ってるんですよ」

「今『カバ丸』を読むと、自分が描いたとは思えないんです」と亜月さん。
「ものすごいスピード感、躍動感なんですけど、何かホッとするシーンがないというか(笑)。こんなの描いてたなんて信じられないって感じです。担当さんや妹に引き出してもらったんだなぁとつくづく思いますね」

「今の自分とは別世界」というけれど、90年代以降は、カバ丸の息子・こカバ丸を主人公にした『伊賀野こカバ丸』にもチャレンジ。かつてのカバ丸ファンをシビレさせている。
「それまでも何度か『カバ丸の続きを描きませんか?』と言われていたんですけど、その都度、お断りしていたんです。私の中ではカバ丸は過去の男だったし、『カバ丸』とは違うシリアスなものを描いていきたいという思いが強かったので。

 でも、『カバ丸』が終わって、ずいぶん時間がたちましたし、依頼されたのが女性まんが誌で、『カバ丸』を読んでいた世代が読者の雑誌だったので挑戦してみました。『カバ丸』ほどギャグっぽくないけれど、楽しくて、笑いの中にホロリとさせるようなものを描いたつもりです。カバ丸同様、こカバ丸もかわいがってあげてください!」

*毎週木曜日更新予定 次回は2月
尾崎 南『絶愛』


★以下の作品について、感想、当時の思い出などを募集しています。

亜月裕『伊賀野カバ丸』

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