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岩館真理子
『遠い星をかぞえて』
集英社文庫
<コミック版>全1巻
中3のふたみは両親とふたりの姉との5人家族。しかしじつはふたみの本当の親は叔母と叔父だった。事実を知らない彼女のもとに、本当の父親である叔父がやってきて、ふたみを引き取ろうとするのだが……。身体の弱い父親、強い母、コミカルな叔父とキャラの描き分けの妙に感服。
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岩館真理子profile
北海道生まれ。
1973年、『落第します』で、週刊マーガレットよりデビュー。92年『うちのママが言うことには』で第16回講談社漫画賞を受賞。繊細な感性から紡ぎ出されるシュールな世界観は、幅広いファンに支持されている。現在は雑誌・YOUを中心に活躍中。

1986年はこんな時代でした!!
●出来事・事件 三原山大噴火、ダイアナ妃初来日、スペースシャトル「チャレンジャー」爆発
●流行 朝シャン、写ルンです、家庭内離婚、究極、ぷっつん、定番、テレクラ、DINKS、あぶない刑事、たけし軍団講談社殴り込み
●ヒット曲 雪国(吉幾三)、DESIRE(中森明菜)、天城越え(石川さゆり)、仮面舞踏会(少年隊)

少女まんがアーカイブ 何十年たっても忘れられないあのセリフ、あの場面。
そんな永遠の名作を、作者のインタビューや担当者の裏話などとともに紹介するコラムです。
「家族」をテーマにした『遠い星かぞえて』と『子供はなんでも知っている』。子どもの頃にはわからなかった大人たちの心の機微が、今ならよくわかって胸にグサリ。新しい感動を味わえそう。
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じつの娘・ふたみに会いたくて、足繁く通ってくる叔父・庄介。でもそんな庄介のことを快く思ってないふたみの母。庄介を露骨にのけもの扱いにしようとする。お母さんの気持ちも、庄介の気持ちもわかって、なんだか切ない。家族の愛を感じる一作。
育ての親と本当の父の間で揺れ動く少女。
「本当の家族とは?」と問いかける感動作。
“ほんわかムード”が魅力だった初期の作品にくらべると、暖かさの中にも厳しい一面をのぞかせるようになった80年代後半の作品。中でも“家族”が重要なテーマのひとつとして、多く取り上げられるようになった。

 その代表作のひとつが『遠い星をかぞえて』。15歳の少女の目を通して、“本当の家族とは何か”を描いた感動作品だ。中3のふたみは両親とふたりの姉との5人家族。しかし本当はふたみは叔父夫婦の子で、本当の父親である叔父・庄介(しょうすけ)が彼女を引き取ろうと、家族の元にやってくる……というストーリー。

「どんなエンディングに向けて描くかで悩みました。主人公が少し暗過ぎたと思いますが、描きたいイメージだけははっきりしていたので、そこに向けて描けたと思います」と岩館さんが言うように、微妙に揺れ動くふたみの気持ちはとてもリアリティがあって、簡単には都合のいいように着地してくれないところにハラハラ、ドキドキ。

 また、若い頃に読んでもわからなかった、ふたみのお母さんの動揺ぶりも理解できて、なんだか心が痛くなってくる。

 それでもシリアスになり過ぎないのは、叔父さんのコミカルなキャラのおかげ!?

「私もまだ若かったので、おじさんキャラって難しいと思いながら描いていました」と言うが、ちょっとボケが入っていて、キュートで、これまた叔父さんは叔父さんなりに、ふたみをとっても愛してることがわかって複雑な気持ちになってしまう。

 今だから読み返したい、家族の愛の奥の深さ、絆の強さを教えてくれる作品だ。

岩館真理子
『子供はなんでも知っている』
集英社文庫
<コミック版>全2巻
母親の再婚相手の息子は、なんとモトカレで、結婚まで約束した相手だった!! いきなりの展開に揺れ動く沙羅。それでも日々を共にする中で、お互いの気持ちは次第に打ち解けていく。少女期特有のあやうさと傲慢さで、我が道を行く沙羅の魅力にハマッてしまいそう!?
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1988年はこんな時代でした!!
●出来事・事件 リクルート疑惑発覚、なだしお事故、瀬戸大橋が開通、イラン・イラク戦争、昭和天皇の病状悪化
●流行 ペレストロイカ、下血、インサイダー取引、101(中国育毛剤)、渋カジ、カウチポテト族、オパタリアン、しょうゆ顔
●ヒット曲 乾杯(長渕剛)、ガラスの十代、バラダイス銀河(光GENJI)、酒よ(吉幾三)、ふたり(少年隊)

今後、登場予定の作品
■小花美穂
『こどものおもちゃ』
ほか多数

バックナンバー
■紡木たく『ホットロード』(1)
■紡木たく『ホットロード』(2)
■紡木たく『みんなで卒業をうたおう』
■紡木たく『瞬きもせず』

■くらもちふさこ『おしゃべり階段』『いつもポケットにショパン』
■くらもちふさこ『東京のカサノバ』
■くらもちふさこ『天然コケッコー』(1)
■くらもちふさこ『天然コケッコー』(2)

■いくえみ綾『POPS』『彼の手も声も』
■いくえみ綾『I LOVE HER』
■いくえみ綾『バラ色の明日』(1)
■いくえみ綾『バラ色の明日』(2)

■池野恋『ときめきトゥナイト』(1)
■池野恋『ときめきトゥナイト』(2)

■一条ゆかり『有閑倶楽部』(1)
■一条ゆかり『有閑倶楽部』(2)
■一条ゆかり『有閑倶楽部』(3)
■一条ゆかり『デザイナー』
■一条ゆかり『砂の城』

■岩館真理子『えんじぇる』
■岩館真理子『遠い星をかぞえて』『子供はなんでも知っている』
■岩館真理子『黄昏』

■亜月裕『伊賀野カバ丸』(1)
■亜月裕『伊賀野カバ丸』(2)
■亜月裕『伊賀野カバ丸』(3)

■尾崎南『絶愛-1989-』
■尾崎南『BRONZE-ブロンズ-ZETSUAI since 1989』(1)
■尾崎南『BRONZE-ブロンズ-ZETSUAI since 1989』(2)

■槇村さとる『愛のアランフェス』(1)
■槇村さとる『愛のアランフェス』(2)
■槇村さとる『ダンシング・ゼネレーション』『N★Y(ニューヨーク)バード』
■槇村さとる『白のファルーカ』(1)
■槇村さとる『白のファルーカ』(2)

■多田かおる『愛してナイト』(1)
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■多田かおる『デボラがライバル』
■多田かおる『イタズラなKiss』(1)
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■本田恵子『月の夜 星の朝』(1)
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おすすめリンク
名作がいっぱい!集英社コミック文庫

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何も知らない父と母は息子と娘をまだまだ子どもだと思っているが、じつは以前ふたりはつきあっていてキスまでした仲だった!? コミカルでおしゃれなセンスが光る一作。でも、「この作品はものすごく恥ずかしいですね。今、困ってます」と岩館さんの評価は厳しい。
再婚相手の子ども同士がじつは元恋人同士だった!?
親の勝手につきあわされる子どもはツライよ。
 一方、同じ家族ものでも『子供はなんでも知っている』は、「あくまでまんが的な、あまり現実感のない家族を描きたかったのかも」と言うように、設定自体がすでにコミカルで楽しい。

 主人公はわがまま盛りの16歳少女・沙羅(さら)。母親の再婚相手の息子はなんと同じ年の同級生・とうた。しかも沙羅ととうたは、以前、つきあっていた間柄だった。

 何も知らない母と義父はノー天気にラブラブしてるけれど、同じ屋根の下で暮らすことになった沙羅ととうたは複雑な感情を抱えて、一触即発状態。まさに子どもはツライよって感じなのだ。

「当時、コミックスの直しのときに目を通した際、沙羅があまりにイヤな性格で、愕然とした覚えがあります。そんな子どもを描いてるつもりはなかったので、読み返してビックリしました(笑)」と岩館さんも言うように、沙羅はかなりの女王体質。

 自分の思う通りにいかないと、すぐ周囲にあたり散らすし、思春期ならではの不機嫌オーラに包まれている感じ。でも、その一方で「今のまま大人になったら、私、幸せになれない」なんて涙するなど、少女特有の傲慢さとあやうさを合わせ持つ、とっても魅力的な女の子だ。

 そしてそんな沙羅に振り回されるとうたが、これまたナイスガイ。半ば諦めの境地で(?)、女性たちのわがままを受け入れ、さり気なく沙羅のナイト役を努める彼は、ある意味、登場人物の中でいちばん大人。将来は絶対モテ男に成長しそうだが、とうたは岩館さんの理想の男性像なのだろうか!?

「いえ、個人的にはもうちょっと違うタイプの男の人が好きなんです(笑)。だから、とうたのような子がいたらラクだろうと思いますが、自分の印象としては薄い感じなんですよ」。

 とうたや家族の愛に守られて、少しずつ大人になっていく沙羅。小さな恋を通して見えてくるのは、彼女がいつの日か築くであろう家庭の活気や暖かさ。もちろんそれは、とうたなくしては実現しないのだ。

*毎週木曜日更新予定 次回は12月27日 岩館真理子『黄昏』

★以下の作品について、感想、当時の思い出などを募集しています。

岩館真理子『えんじぇる』『遠い星をかぞえて』『子供はなんでも知っている』『黄昏』

また、上記の作品以外にも、取り上げてほしい懐かしい作品がありましたら、
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