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一条ゆかり
『砂の城』
集英社文庫
<コミック版>全4巻
クイーンズコミックス
全6巻
フランスの資産家ローム家の令嬢ナタリーは、一緒に育った捨て子のフランシスと愛し合うようになる。しかし身分違いの恋は悲劇をまねき、ひとり残されてしまうナタリー。恋人の息子を引き取るが、次第に恋人に似てくる息子に、ナタリーの心は揺さぶられていく。
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一条ゆかりprofile
1949年9月19日、岡山県生まれ。68年に『雪のセレナーデ』で第1回りぼん新人漫画賞に入選しデビュー。代表作に『砂の城』『デザイナー』『正しい恋愛のススメ』など。来年でデビュー40年を迎えるが、現在連載中の『プライド』も大人気。“少女まんが界の女王”の地位はまさに不動。
テレビドラマ
『有閑倶楽部』
毎週火曜夜10時〜
日本テレビ系列で絶賛放送中!!


1977年はこんな時代でした!!
●事件、事故……日航機ハイジャック事件。青酸コーラ事件。有珠山爆発。巨人・王貞治、通算本塁打756 本を達成。
●流行……アンノン族。おちこほれ。カラオケ。プリントゴッコ。翔んでる女。話がピーマン。キャンディーズ引退。エーゲ海に捧ぐ。八甲田山。
●ヒット曲……津軽海峡冬景色(石川さゆり)。あずさ2号(狩人)。勝手にしやがれ(沢田研二)。

今後の登場予定
■安積棍子
ほか

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名作がいっぱい!集英社コミック文庫

少女まんがアーカイブ 何十年たっても忘れられないあのセリフ、あの場面。
そんな永遠の名作を、作者のインタビューや担当者の裏話などとともに紹介するコラムです。
華やかな世界を描いて、すっかり燃え尽きてしまった一条さんが、次にチャレンジしたのはうじうじした女性がヒロインのメロドラマ。じつはその裏には、さらなるプロフェッショナルを目指す、一条さんの目標があった!
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うじうじしたヒロインということ以外にも珍しいのは、『砂の城』が女の一代記であること。「私は輝いてる一瞬を切り取った物語が好きで、生まれたときから死ぬまでの話は嫌いなの。絶対描くことはないと思ってたんだけど、この作品はとにかく苦手なものを描くことがテーマだったから、あえて女の一生を描いた壮大なドラマにしました」
自分がもっとも嫌いなしんきくさいメロドラマ。
それをおもしろく描けたら本当のプロになれるはず!?
 一条さんが『砂の城』を描き始めたのは『デザイナー』を描き終えて2年たった頃。
 カッコよさがウリの『デザイナー』とは、まったく正反対のしっとりしたハーレクイン・ロマンス調のこの作品で、一条さんはあらたなファン層をつかむことになったが、この作品を描くきっかけが、これまたユニークだった!

「前回も言いましたけど、『デザイナー』を描いた後、燃え尽きてしまっていたんです。やりたいことを全部描いちゃった、ああ、どうしよう、もう描くものがないわって。
 で、困っていたんですけど、ちょうどその頃、お昼のメロドラマにハマッていたんですね。ああいうしみったれた話って、すっごく嫌いなのに、『本当に嫌よね』とか文句ばっかり言いながら、時間になるとチャンネルをセットしていて(笑)。

 それで、そうだ、やることもなくなったし、今までいちばん嫌いだと思っていたものをやってみようって思ったんです。
 今までは自分の好きなことを好きなように描いていて、日記を描いているようなものだったけど、『プロって何だろう?』と考えたときに、好きなものだけを描いてるって、それではセミプロだわと。
 たとえ嫌いなものを描いても『本当にこれがお好きなんですね?』って言われるものを描く――それが本当のプロだと思ったんです(笑)

 そこでもっとも自分が苦手なメロドラマにチャレンジすることに!!
 身分違いの恋、記憶喪失、さらには恋人の息子との禁断の恋……と、昼メロに欠かせない要素はすべて盛り込み、さらに死んだ恋人の面影を追い続けるヒロインのナタリーは、メロドラマならではのうじうじした性格に設定した。

メロドラマの主人公の何が嫌いって、『でも』『だって』って、ぐずぐず、ぐずぐずして。そしてちっとも反省しないで、同じことを繰り返すところ。いい加減にわかれよ、何度同じことをやったら気が済むんだっていう。そう、まさにナタリー(笑)。
 私が普段描く主人公って、すぐ開き直るの。『もういいわよ!』ってパーンとちゃぶ台を引っくり返して、コロッと強くなるとか。だからそれだけは今回はやめようと思いました」

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主人公のナタリーとフランシスは気まじめに描く一方、「主人公以外では遊んでよし、ということで、ほかのキャラで楽しみました」という一条先生。
いちばん好きだったのが、ランベールさんのモトカノ。何かああいう人を描くとうれしいのよね。あと、アメリカのジェフ・ハワードと奥さんの歪んだ恋。ああ、楽しかった!(笑)」
『砂の城』でたまったフラストレーションを
『有閑倶楽部』でパーッと発散してたんです。
 テーマは「やってもやっても懲りない女」。『砂の城』というタイトルも、そんなナタリーの性格に由来しているのだそう。

ナタリーのキャラを考えていたら、『人生は砂の城のようなもの』っていうフレーズが頭の中に浮かんできたんです。つくっても、つくっても、波が壊してしまう。おまえのことじゃないかっていう(笑)」

 しかし自分の嫌いなヒロインを描くことは、相当なストレスとなったそう。

も〜っ、毎回毎回、イラつくったらないのよ。『恋人は死んじゃったんだから、もういいやん!』って(笑)。しかもしつこい上に、お嬢様根性がぬけなくって、本当にストレスがたまりました。
 しかもフランシスが嫌いなタイプで(笑)。あのまじめさがイヤ! キミにはセクシーさがない! とか言いながら描いてました」

「これを最後まで描き切ることができれば本当のプロになれる!」とサブキャラに楽しみをみつけては頑張ったが、やはりフラストレーションはたまる一方。
 しかし思わぬところに効用が! じつは『砂の城』の反動で、まったく正反対な名作『有閑倶楽部』が誕生することになったのだ。

じめじめしたのを描いてたら、本当にばかばかしい、仕掛け花火のようなパーッとした作品が描きたいと思うようになったんです。それで一時期は『砂の城』と同時に『有閑倶楽部』を描いてたんですね。働き者でしょ(笑)。
『砂の城』を描いていて、『あ〜っ、しんきくさーっっ』と思うと、『有閑倶楽部』でパーッと発散して……という感じ(笑)。素晴らしい相乗効果だったの」

 飽きっぽくて、あまのじゃくという本来の性格も手伝って、見事に最後まで描き切った『砂の城』。で、その結果、一条さんが理想とする“本当のプロ”になれたのだろうか?

「どんな仕事でも、自分の楽しみをみつければうまくやっていける、という自信はついたかな。へんな話だけど、これなら『エジソン物語』とかもいけそう、みたいな(笑)
 あえて自分に難しい課題を出して、チャレンジ精神をあおるという方法で、自分のステージを一歩ずつクリアしていった一条さん。今の女王の地位は、そんなたくさんの冒険によって築かれたものなのだ。

*毎週木曜日更新予定 次回は12月 岩館真理子『えんじぇる』

★以下の作品について、感想、当時の思い出などを募集しています。

一条ゆかり『有閑倶楽部』『デザイナー』『砂の城』

また、上記の作品以外にも、取り上げてほしい懐かしい作品がありましたら、
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