金原ひとみ
Profile
金原ひとみ
1983年東京生まれ。小学校6年生のとき、父(翻訳家・児童文学研究家の金原瑞人氏)の仕事の都合で、米・サンフランシスコに1年滞在。その間に村上龍、山田詠美などの作品と出合い、それをきっかけとして、中学生のころから小説の執筆を始める。デビュー作『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞、第130回芥川賞を受賞。『アッシュベイビー』は、芥川賞受賞第1作になる。
「アッシュベイビー」表紙アッシュベイビー
金原ひとみ
集英社・刊
定価:1,050円(税込)
ISBN:4-08-774701-8

新・芥川賞作家が受賞第1作のモチーフに選んだのは、幼児性愛、自傷行為、レズ…。『蛇にピアス』を凌ぐ、読むほどに「痛み」と「深み」を増していく「愛」の世界。
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作品リスト
第1回
第2回
第3回
金原ひとみスペシャルインタビュー芥川賞受賞第一作「アッシュベイビー」
タイトル
20歳という若さが特別に注目されがちな金原さん。確かに金原さんはインタビュー時に春らしいショッキングピンクのトレンチコートがよく似合っていた、かわいい20歳の女の子だ。
「このコート、きのう新宿のアルタで買ったんです。店員さんは、私のことなんて知らないですよ〜。普通に『これかわいいよねー』って感じで会話してます(笑)」と笑う声が、とてもチャーミング。さて、「芥川賞作家」となった実感は?


「実感しているのか、してないのか、よくわからないですね(笑)。街を歩いていて声をかけられることは、たまーにあります。受賞直後はかなり忙しかったんですが、最近、少し時間の余裕が出てきたので、よく映画やビデオを見ています。デビッド・リンチ監督の『ブルーベルベット』がおもしろかった。最初に『マルホランド・ドライブ』を見ておもしろかったので、リンチの作品をさかのぼっていろいろ見ています。お芝居も来週、久しぶりに見にいく予定。野田秀樹さんの『透明人間の蒸気』。阿部サダヲさんが好きなので、楽しみにしています」

現在、執筆時間は毎日どれくらい?

「日によって全然違いますね。忙しくて書けない日もあるし、6時間くらい書いているときも。とりあえず、時間があればパソコンに向かっています。書くことが全てというわけではないけど、私の一部になっている。自分が日々感じていることを、なるべくいい形で表したい。それが私の場合、小説だったんですね。書くことが、一番、忠実に伝えられる気がします」

人生の早い時期に小説という表現方法にめぐり合った金原さん。けれども「何をやっていても、やっぱり小説にたどりついていたんじゃないかな」と言う。

「書くのは夜。お酒を飲みながら書いてます。そのほうが集中するんです。頭の中は鈍くなるけど、本能的な言葉がどんどん出てくるので、テンポよくキーボードを打っていける。無意識の世界に入っていくのかもしれないですね。プロット(筋書き)はたてずに、自分の中から出てくるものをそのまま書いていきます。それが、あとでうまくつながったときは快感ですね。クリエイターとしての自分がもうひとりいて、本能と直結しているように感じられます。『アッシュベイビー』にも、私自身が気づいていないことがまだまだあるのかもしれないですね」

金原さんの手を通して作り上げられた世界は、どこかもっと深いところにつながっているのかもしれない。金原さんと共に、その世界にさまよい出て、探ってみてほしい。あなたが理解できないもの、知りたいもの、求めるもの、固執するもの、生きること、死ぬこと。今、そんな迷いの真っ只中にいる人も、「最近、そんなこと深く考えたこともなかったわ」という人も。『アッシュベイビー』の混沌の世界の中で、あなたは何を見つけるだろうか。

インタビュー・文/石川敦子
写真/田巻照敏


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