杉山愛
Profile
伊藤まさこ(いとうまさこ)
1970年、横浜生まれ。文化服装学院卒。料理・雑貨スタイリスト。「もともと、裏方として仕事をするのが大好き。本を出すようになって機会が減ってしまったけど、スタッフの一人として雑誌などに関わる仕事をこれからも続けていきたいな、と思っています」。なお、LEEで好評連載中の「毎日がこはるびより」をまとめた本が、この秋に集英社から発売予定。
Vol.1「布を愛するスタイリスト・伊藤まさこ」ができるまで。
Vol.2 気に入った布は、どんどん使う。だから楽しいんです。
Vol.3 好きなものは徹底して好き。だけど、案外抜けてる部分も!?
伊藤まさこ 著
集英社 刊
定価:1470円
ISBN:4-08-333031-7
LEEをはじめとした女性誌で人気の料理・雑貨スタイリストが日々楽しむ、「布のある生活のすばらしさ」とは。キッチン、居間、ベッドルーム。あなたの日常生活の場を、この一冊で楽しく変えてみてください。
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伊藤まさこスペシャルインタビュー「わたしの布のほん」
Vol.2 気に入った布は、どんどん使う。だから楽しいんです。
「いつの間にか集まってしまった」という布の「数」を、伊藤さんは把握していません。ただし、「数」は覚えていなくても、手に入れた布のことはちゃんと覚えていて、それぞれにぴったり合った「用途」を考えるといいます。

「布屋さんで新しい布を買ったら、すぐに端をかがって始末し、全部実際に使っています。布って用途が広いんですよ。着る布、リビングで使う布、ベッド回りの布、キッチンで使う布・・・・ね、いろいろ使い道があるでしょう? 気に入った布を手に入れて、どんなふうに使おうかとイメージを膨らませるのが、とっても楽しい!」

色違いで買ったキッチンクロスを気分で使い分け、気持ち良く食器をキュッキュッと拭く。かわいらしいリバティ柄の布を見つけたら、柄に合わせたデザインを考え、娘の胡春ちゃんのワンピースを縫う。シロップ作り用の布を使っていちごのシロップをたっぷり作り、友達におすそ分けをする。ガラス皿の下にカラフルなランチョンマットをひいて、“色”や“柄”を楽しむ――。買った布を後生大事にしまったりせず、それぞれをイキイキと使いこなす。それが、伊藤まさこ流の布使いなのです。

「スタイリストという仕事柄、撮影用に必要だから買うのだろう、と思われるかもしれませんが、それはないですね。撮影でもうちでもちゃんと使えるものを、と選んでいます」

そんな伊藤さんがとりわけ好きな布は、亜麻(=フラックス)で作られた布、リネン。ちなみに「リネン」という言葉は、暮らしの中で使う布を麻も木綿もひっくるめて「リネン類」と総称する場合に使ったりもします。伊藤さんは『わたしの布のほん』の取材で、ベルギーの最高級リネン・メーカー「LIBECO」の工場を訪ね、植物の「フラックス」が糸となり、手間と時間をたっぷりかけ、だんだんと「リネン」になっていく工程を見て、とても感激したのだそう。
リネンに惹かれる理由は、いくつもある、と伊藤さんは言います。例えば、百年ほど前のアンティークのリネンが、今も現役で使えることからもわかるように、とにかく丈夫。そして、洗濯しても乾きが早い。この2つの理由は、忙しい主婦には大助かりのリネンの特徴。

「でも、何より、風合いが気にいっています。買ったとたんは“ぴしっ”としているんだけど、何度も洗っているうちに“よれっ”となって温かみが増すんですね。“ぴしっ”もいいけど、“よれっ”もいい。アイロンがけをすれば、ちゃんとまた“ぴしっ”とした布になりますし。どちらの感じも捨てがたいんです」

アシスタント時代や、駆け出しのスタイリストの頃は、「折りジワが写真に写ったりしたら大変!」と、神経質にアイロンでせっせとシワを伸ばしていた、という伊藤さんですが、

「今は折りジワ、全然気にしていません(笑)。むしろ、折りジワのある布を使ったほうが、温かみがあって味わいのあるスタイリングになるような気がします。そう考えるようになったきっかけは、シワのある布を使ったスタイリングを洋書で見つけて、『あ、シワがあるのもいいじゃん!』と思ったこと。ですから、さっきまでうちでお皿を拭くのに使っていたキッチンクロスが、撮影に登場なんてことがよくあるんです(笑)」


インタビュー・文/中沢明子
カメラ(伊藤さん分)/関 俊也
 

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