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『盲導犬クイールの一生』の著者による初の短編小説集、s-woman.netで10月に連載スタート! 石黒謙吾『奏でられた犬』スペシャルインタビュー
石黒謙吾(いしぐろ・けんご)
1961年金沢市生まれ。雑誌編集者を経て、書籍の執筆、編集を手がけるようになる。『盲導犬クイールの一生』(文藝春秋)、『パピーウォーカー』(全日出版)など犬(と人)に関わる作品の他、『ダジャレ ヌーヴォー』(扶桑社)『チャート式 図解でユカイ』(ゴマブックス)など、仕事の幅は非常に広い。『ザ・マン盆栽』(文春文庫プラス)をはじめ、編集を手がけた書籍も多数。
石黒謙吾スペシャルインタビュー
1 犬を通して見える、人の気持ちが書きたい
2 犬をふつうになでることができなかった

2 犬をふつうになでることができなかった

“かわいい犬”のことを書きたいのではなくて、犬といっしょにいることで見えてくる“人の気持ち”のほうが書きたい、という石黒さん。もちろんそのベースには、犬といっしょにいることで、時に微かに、時にダイナミックに動いてきた自分自身の気持ちがある。

「いまはもう大丈夫なんですが、以前は街中で犬にあっても、うかつに近寄れなかったんですよ。みんなが駆け寄ってなでている時にも、距離を置いていた。

離れられなくなってしまうんです。なでてしまったりすると、気持ちが入っちゃって……」

そこまで犬と通じてしまったのは、どうして?

「小学校の頃に親が離婚して、母親がいなくて。4〜5年生ぐらいまで、父が夜遅く帰ってくるまで、ずっと犬といっしょに寝起きしてた。近所のタバコ屋さんでもらってきたロックって名前の犬なんですけどね。テリアの雑種で。

本当にいっしょに“寝起き”してたんですよね。布団の中にロックが入ってくる感覚とか、すごく覚えてるなぁ。それで、最初は寒いからもぐりこんでくるんだけど、中にいると暑くなってきて、ハーハー言いながら足元から顔に上がってくる(笑)。この時の感じやにおいって、独特なものがありますね。もう、こんなふうにずっと一緒だから、小学校の時は僕は犬臭かったと思いますよ」

ひとりぼっちの時にいっしょにいてくれたんですね。

「そうそう。ちょっと話は関係ないかもしれないんだけど、ロックは実家に17歳までいて死んだんです。それが、僕が初めて海外出張に行った時で。マニラに行ったんですけど、飛行場でイミグレーションカードを無くして大変な目にあって、取材撮影中も3回ぐらい本当にヤバい状況に陥って……。

それで、なんとか無事で戻ってきたら死んでいたんです。何か、ロックが守ってくれたんじゃないかって感じはあったんですよね」

小学生の頃、いっしょに眠った犬。上京してアルバイトをはじめた喫茶店の、裏口にいた犬……。石黒さんの心の中には、きっといろんな犬がいて、そこから思い出されてくるいろんなにおいや、音楽や、ぬくもりがあるのだろう

取材・文/s-woman.net
撮影/大橋 愛

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