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女性がたった一人で、アラスカのユーコン川をカヌーで下る…。
第2回開高健ノンフィクション賞を受賞したのは、そんな旅の記録を綴った『ウーマン アローン』。新田次郎の『アラスカ物語』で描かれた人物・安田恭輔に魅せられ、舞台となったビーバー村に行こうと川を下ったのが、著者である廣川まさきさんだ。
そもそも、作品を書こうと思ったきっかけは何だったのだろう? |
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「もともと日記や自分の思ったことを書きとめておく癖があるんです。最初はメモ書きから始まりました。今回の旅は、本当にいろいろなことがあって、たくさんのことを感じたので、だんだん自分の中の箱が小さく感じて。容量オーバーになって、『とにかく出そう!』と思って書きました。出来上がったら、誰かに読んでもらいたくなったんですが、当時私はカナダにいたので、日本語の文章なんて誰にも読んでもらえない(笑)。それで、賞に応募してみることにしたんです」 |
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受賞の知らせには、「びっくり!」と一言。 |
| 「だって、読んでくれないんじゃないかと思っていたんです(笑)。ちゃんと読んでもらえて、さらにこのような評価がもらえたことには、ただただ驚くばかりです」 |
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謙虚な姿勢に、おっとりとした口調。予想以上に小柄で、女性らしい雰囲気の廣川さん。この女性が、アラスカの大河をカヌー一つで、雨が降れば凍えるように寒く、太陽が顔を出せば焼かれるように熱い大自然や野生の熊出現の恐怖など、数々の困難と闘ったとは到底思えない。そのパワーは、一体どこから沸いてくるのだろう。 |
「うーん、好きだからですかね(笑)。本来は、私すごく落ち込みやすいんですよ。でも、旅の途中で落ち込んで止まっちゃったら、もう帰ってこれないんです。この旅ではUターンが出来ませんから前進しかないんです。困難に直面すると途方に暮れて、思考も行動も止まってしまいますが、そんなときは『今どうすればいいか、考えろ!』ってひたすら自分で自分を叱って、励ましました。結局は、前進あるのみ。とにかく行くしかないんです。

ただ、旅に出る前に準備と言うか、ちゃんと心構えができていたのは幸いだったかも。私は、旅に出る前にカナダの牧場で働いていました。牧場で働くことは、小さいころからの私の夢だったんです。そこで、大自然に慣れ親しむことができたし、野生の動物の生態や動物との接し方を学びました。そのおかげで、どんなにピンチのときでも、冷静な判断ができたのかもしれません」 |
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| 旅で最も印象深かったのは、さまざまな人との出会いだそう。 |
「本当に多くの人々に出会い、たすけられました。心細いときに元気をくれたおばちゃん軍団、私の体を気にかけてくれたり、食料を分けてくれた村の人々。今でもすべて鮮明に覚えています。近いうちに、ぜひこの人たちにもう一度、会いにいきたいと思っています。
あと、実際『アラスカ物語』の舞台となったビーバー村を訪れてみて、安田恭輔さんの偉業が、今の若い世代にあまり伝えられていないことがわかって、寂しいなと思ったんです。
もともと子供が好きで、子供たちに何かを伝えられる人間になりたいという思いもあったので、安田さんのことを絵本にして、現地の子供たちに伝えられればいいなと思います」 |
| 「行きたいところもやりたいことも多すぎて、人生が足りない」と語る。廣川さんの旅は、これからも続いていく。 |
撮影/神尾典行
取材・文/野々山幸 |