
松山梢(まつやま こずえ)
映画雑誌「ROADSHOW」の編集を経て、女性誌を中心に映画記事や俳優のインタビューを執筆するフリーランス・ライター&エディター。ハリウッドスターのゴシップが大好物。
2011/11/04
「マラソンをすることで今日も精一杯生きたと錯覚する。
何でもない日が妙に充実する。実に体に良い現実逃避だ」
古谷実の漫画「ヒミズ」を久々に読み返し、
主人公・住田が語る言葉に納得しました。
疲れるし、準備も面倒くさいし、
流行に乗っているみたいで、なんか今更じゃない……?
趣味で3年前に走り始めたときはノリノリだったのに、
最近は走らない理由ばかり見つけていた気が。
私の中でむくむく大きくなっていた「どうして走るのか」という疑問に、
明確でシンプルな答えをくれました。
『ヒミズ』(1月14日公開/ギャガ配給)
『冷たい熱帯魚』や『恋の罪』で人間の業の深さをあぶり出した園子温監督が、
初めて原作ものを手がけた最新作『ヒミズ』。
オープニングから心をわしづかみにされ、
ザラザラのアスファルトに心臓をゴシゴシ擦り付けられるような
辛く苦しい2時間を経て、ラストシーンでふわっと優しく開放される。
園監督の手の平で転がされた、原作とはまた違う心地いい映画体験でした。
「がんばれ、住田!」と叫びながら住田と同級生の茶沢が土手を疾走するラストシーン。
ヴェネチア映画祭では上映後「ガンバレスミダ」コールが起きたそう。
それくらい、挑発的で絶望的だった前2作とはかけ離れた
希望にあふれた瑞々しいラストシーンがいまだに頭から離れません。
絶望に直面しても、どんなにズタズタに打ちのめされても、
「死」を選択することでは決して得られない、生々しく強烈な「生」がありました。
MORE編集部Hさんと参加した湘南国際マラソン。はるな愛ちゃんと徳光さんが応援に!
映画の興奮が覚めやらぬまま出場した
湘南国際マラソン(といっても10キロ)。
練習不足がたたり、結果は自己最低。
それでもラスト3キロ、頭の中で繰り返していたのは「がんばれ、住田!」という茶沢の言葉。
ゴール後に久々に得た充実感はたぶん、
精一杯生きていることを錯覚できたからかもしれません。
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