江國香織先生
Profile
江國香織 (えくに・かおり)
1964年東京生まれ。目白学園短期大学国文科を卒業後、出版社勤務を経て、米・デラウェア大学に留学。主な著書に『きらきらひかる』(紫式部文学賞)『こうばしい日々』(産経児童出版文化賞、坪田譲治文学賞)、など多数。近著に第15回山本周五郎賞受賞の短編集『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』、エッセイ集『とるにたらないものもの』(ともに集英社・刊)など。

このインタビューの後、『号泣する準備はできていた』(新潮社)が第130回 直木賞に選ばれた。

おめでとうございます。
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イングリッシュ ローズィズ
イングリッシュ ローズィズマドンナ・作
江國香織・訳
定価:1995円(税込)
発行:ホーム社
発売:集英社
ISBN:4-8342-5096-2
世界のスーパースター、マドンナが絵本を刊行!
その第1弾が、この『The English Roses』。日本でも絶大な人気を誇るジェフリー・フルビマーリがイラストを担当、37ヶ国語に翻訳され、世界100ヶ国で発売されることになっている。日本語への翻訳は、若い女性を中心に支持されている江國香織さんが担当した。
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江國香織「The English Roses」スペシャルインタビュー
タイトル
5人の女の子、遠くに見える虹、すみっこには怒ったようなネズミくん、そしてバラに囲まれたタイトル『イングリッシュ ローズィズ』。この絵本の作者はなんと、あのマドンナ! そして翻訳者が江國香織さんという意外な組み合わせにもまたびっくり。いったいどんな絵本なのか、その魅力を江國さんに語っていただいた。

「最初はマドンナだからどう、というイメージを持たずに読み始めたんです。でも読み終わったときには『これはまさにマドンナだ! マドンナ以外の誰にこれが書けるだろうか!?』と思いました。語り口が率直で、愛に満ちている。全体のたたずまいがとても“ガーリー”。私が持っている“ガーリー”のイメージは、けして少女趣味ではなくて、むしろ勇ましく、りりしい女の子のイメージなんです。本のたたずまいからそんな空気が伝わってきて、とてもいいなぁと思いました」

イングリッシュ ローズィズとは、仲良しの女の子4人組のこと。4人は、美人でなんでもできる女の子・ビナアに嫉妬している。けれども不思議な夢を見て改心し、5人は仲良くなる……そんなストーリーは、かなり教訓的。

「私は、本を読んでいてちょっとでも教訓くささが漂うと、すぐにいやになっちゃうほうなんです。ところがこの本は、こっそり教訓をすべりこませるのではなくて、『それをこそ伝えたい』と、堂々と打ち出している。とてもあからさまで、しかもちっともいやな感じがしない。徹底してやってのけているんです。そこがマドンナのすごさだと思いました」

「子供たちに向かって語りかける出だしや、妖精が登場するような道具だては昔風。それがリズムのいい、今風の文章で語られます。古典的なものと現代的なものがミックスされたアンバランスさも、マドンナらしい感じがします。そしてストーリーは骨太だけど、細部がうまいんです。たとえば4人がビナアのうちを見学に行くところ。ビナアの部屋にはお人形がたったひとつしかありません。そこで『信じられる?』とマドンナは語りかける。そのときまで忘れていたけど、確かに子供の頃って、お人形やぬいぐるみはいくつも持っていましたよね。『ビナアの部屋にはお人形がひとつもありませんでした』というより、『お人形がたったひとつだけ』というほうが、はるかにせつなさが迫ってきます」

絵を描いているのは、日本でも雑誌の表紙や広告のキャラクターイラストで有名なジェフリー・フルビマーリ。表紙にも見返しにも文章の回りにも、たっぷり描きこまれた絵をじっくりながめてほしい。うれしくなるような発見がたくさんあって、何度も繰り返しページをめくりたくなるはずだ。

「私も細かいところをすごく見ちゃいました。たとえば妖精のおばさんがいきなりサンドイッチの上に落ちてくる場面。そんな異常事態なのに、そのあとしっかりサンドイッチを取り返してる子がいたり、わりと落ち着いて飲み物を飲んでる子がいたり(笑)。この子のびっくりしたポーズもいいんですよね。私も、もしも空から妖精が落ちてきたら、『ひっ』なんてかたまってちゃよくない、これくらいのリアクションはしよう、と思いました(笑)」
インタビュー・文/石川敦子
カメラ/関 俊也


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