「料理好きの器えらび」刊行記念
著者スペシャルインタビュー 有元葉子のイギリス便り
10月5日に発売の「料理好きの器えらび」の著者、有元葉子さんは、今年6月に英国暮らしを始めました。10月1日発売の「エクラ11月号」では、イタリアのお宅も披露しています。ステキな食卓やお部屋の演出術を、ロンドンから中継でお伝えします。
イギリスの生活が気持ち良い理由(わけ)
Q イギリスには一年のご予定で滞在されてるんですね。
A 東京の家が改築されるので、それを機会に思いきって。何度も行き来はしていますけど、長期に滞在するのは今回が初めてです。
Q 実際にお暮らしになってみて、いかがですか?
A 公園が多くて、町の緑も豊かだから、散歩が楽しくて。
撮影/竹内章雄
  自宅の改築の為に庭のけやきの木が切られてしまうことがわかって、あわててオーナーの方と建築家に木を残して頂くようにお願いしました。東京では緑の環境より経済性が重視されてしまうので大きな木が生き残る事が難しい。そんなことを考えると、イギリスは都市計画の先進国ですね。19世紀の末にはもう、住む人の健康や暮らしに配慮した「田園都市」という都市計画が提案されていました。そういうお国柄ですから、樹木だけでなく歴史的建造物の保存なども市民レベルで熱心に取り組んでいます。
  緑、古い建物は都市に落ち着きや豊かさをもたらしてくれます。これがないといくら機能が優れていても味気ない、暮らして気持ちのよくない都市になってしまいます。
  トラスト運動もさかんで例えば「ピーターラビット」の著者、ビアトリクス・ポターも協力した「ナショナルトラスト」という組織なども、日本の建築保存運動のよいお手本だと思います。私も黒姫のC・W・ニコルさんのトラスト運動に参加していますが、日本でもその気があればできるんですよ。
海外で、和食器の魅力を再確認
Q イギリスに引っ越されるときには、日本から食器をたくさん運ばれたとか。
A はい。10月5日に発売の「料理好きの器えらび」では、我が家の食器ワードローブをご紹介しています。魅力的なコーディネートや盛り付けテクニックも提案していますから、皆さまのお役に立てればいいですね。
  ご覧いただくと分かりますが、ほとんどが和食器。愛用の食器は和物が多く、ロンドンへも最小限ですが持ってきました。和食器ならではの、料理を包み込むような柔らかいラインが、きっといろいろな国のお料理を引き立ててくれるはずです。
Q 最近、ヨーロッパでは、和食だけでなく、和食器も注目されていますね。
撮影/竹内章雄
A ええ、例えばこの「料理好きの器えらび」の中で、私の愛用品としてご紹介している黒田泰蔵さんの磁器などは、海外でも脚光を浴びています。それから漆器もヨーロッパでは珍重されています。「japan」とは漆という意味だそうです。本当に日本は漆の国です。漆器というと、日本ではあまりに身近で見過ごされがち。現代の食卓にあわせた使い方をこの本でご紹介しています。モダーンな食器と漆器はとても相性が良くて素敵にコーディネートできるのですよ。お椀も汁碗としてばかりでなくデザートに使ってみてもいいですね。
Q 洋食器では、イタリア在住のペロションさんと食器のデザインをされていますが。
A ペロションさんの食器は、私がイタリアに住む前から大好きでした。眺めているだけで、繊細なフォルムや色合いに引き込まれてしまいますね。
  料理を作る立場からは、「こういう食器があったら…」という永年の願いもあって、それを実現するために、ペロションさんにお願いして利用範囲の広い基本の5点セットを作って頂きました。
  この10月には、伊勢丹新宿店イタリア展のチェリーテラスさんのコーナーにペロションさんの作品も出品されるようです。私もそこでトークショウをしますので、ぜひ足を運んでください。
住まいはデザインの出発点です
Q イギリスからイタリア・ウンブリアへも足繁く通ってらっしゃいますが、ウンブリアのお宅に着くとホッとされるとか。
A 10月1日発売の「エクラ11月号」(※)でイタリアの自宅が取材されています。中世の造りで、その昔は修道院の部屋だった場所を修復したんです。古い建物で、素晴らしいですよ。でも、インテリアもその時代の家具だけというわけではありません。
  古い家に古い家具だけ、というのは重苦しく感じます。モダーンなデザインの物を古い時代のものとミックスして、私流のバランスでコーディネートしてみたら、とても落ち着いた空間になりました。
撮影/木村金太
  カーテンは広い面積を取る物ですからとても重要な存在ですね。イタリアの家では麻で壁と同じ色のカーテンにしました。そのせいかニュートラルな感じで居心地が良いですね。
Q 日本、イタリア、イギリスと三つの国にお住まいになってご活躍ですが、最後に来年のご予定は?
A 来年は夏頃には家が完成するでしょう。スタジオは野尻湖の家同様に八木建築研究所の設計で、とても楽しみなの。野尻湖の家は海外の建築の本にも取り上げられるほど高い評価をいただいたのでとてもうれしいです。今度のデザインも「暮らしが楽しくなるような住空間を」って依頼しています。
  八木建築研究所とはキッチン改造プロジェクトも進めていて、共同設計した名古屋の料理家の御宅がちょうど完成したばかり。施主の方がアンティークのテーブルを大事にしてらっしゃるので、自慢はそれを生かした働きやすい空間で、とても素敵ですよ。
  ハウジングのほかに食材、料理、食器、インテリア、景観、旅…私の好奇心は広がるばかり。
  これからも楽しい仕事を計画していますから、雑誌や本でぜひご覧いただきたいですね。
(※)エクラについて詳しくは http://www.s-woman.net/eclat/
「料理好きの器えらび」有元葉子・著定価1,680円

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